本が好きな子になってほしい! 家でできることって何でしょう? だいすけお兄さんとヨンデミーオンライン笹沼颯太さんが対談【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・本誌編】
だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。kodomoe本誌で人気の連載を、webでもご紹介します。
今回のゲストは、親子がおうちでできる読書の習いごと「ヨンデミーオンライン」を、東大在学中に開発した笹沼颯太さん。子どもが読書好きになるコツと、そのための大人側の心構えを、だいすけさんがレクチャーしてもらいました。
さらに、ウェブオリジナルのエピソードはこちら→「秒で楽しむ動画の時代だからこそ、本に夢中で日が暮れた! っていう経験が大切」
本が好きな子になってほしい!
家でできることって何でしょう?
「すごく面白い!」のは 10冊読んで1冊です
ゲームやスマホ全盛の現在でも、読書の習慣づけはできる? オンライン読書教育サービスのパイオニア、笹沼さんにそのコツをうかがいました。
だいすけお兄さん(以下だいすけ)「どうしたら子どもが本好きになるか」という相談って、多くないですか。
笹沼さん(以下笹沼) めちゃくちゃ多いです。「ヨンデミー」を始めたのも、僕が家庭教師をしていたときに「どうやって本好きになったんですか」と親御さん全員から聞かれたのがきっかけです。
だいすけ 実際、本が好きになるにはどんなことが大事だと思いますか。
笹沼 まず大前提は「楽しい」ことですよね。読書って、本を読んでいる瞬間だけじゃないと思うんです。本を読んだ後の会話、本を選ぶ時間、読んだ本を思い出す時間とか、本に関わるすべての時間、その量と楽しさを増やすことが大事だと思います。
だいすけ 確かに。僕も子ども向けのコンサートのお客様には、会場で楽しむのはもちろん、帰り道で「ここが楽しかったね」とか、家族でのコミュニケーションを大切にしてほしいと思っています。
笹沼 ああ、おっしゃる通りですね。それと似た意味で、お子さんと図書館に行くのはおすすめです。初めて図書館に行くと、大量の本に圧倒される。大人の2分の1の身長なら、あの本棚が2倍の大きさに見える、それってすごい体験じゃないですか。その記憶や、まさに帰り道に話すことが楽しい読書体験になる。そして、借りた本を読んでの会話がまた楽しさにつながっていく。あと、ごはんの時間に本の話をするのもおすすめです。本の話なら話題はなんでもよくて、お子さんが本というものについて考える時間を徐々に増やしていくと、「本って面白いのかも」とだんだん思えてくるかと。
だいすけ おお~、ごはんの時間に! いい発見ですね。「子どもとどういう話をすればいいかわからない」というパパにぴったりですね。
笹沼 はい。お子さんが読んだ本を手にして「どんなお話だったの?」とか「パパに読み聞かせしてくれない?」とか。コミュニケーションツールとしての本っていうのは、やはり大事だと思うんです。
だいすけ 本を読まないことにフォーカスするより、そうやって日常の中で本の話を増やしていけば、どんどん興味が湧いてきますもんね。
笹沼 はい。その際に大事なのは、「会話」であること。よく「尋問」になっちゃうんですよ。「主人公は誰?」「ここから何を得ましたか?」みたいな。でも、面白くない本の感想は難しい。読書はくじ引き感覚で考えてほしくて、没頭できて「すっごい楽しかった!」と思えるのは、多分10冊に1冊です。そのくじ引きを、外れても引き続けることが大事。図書館の本なら、気楽にそれができますよね。読書教育家のダニエル・ペナックによる「読者の権利10か条」には、「読まない権利」や「飛ばし読みする権利」もあるんです。面白くなかったり、読みたい気分じゃなければ読まなくていい。読書ってもっと自由なんだよって、伝えることは大事だと思いますね。
だいすけ 確かにそうですね。その本が自分に響かなかったらやめていいと知っていれば、じゃあ今度は違うのを読んでみようかなって、また次につながっていきますよね。
ひとりで読み出したら
簡単なものに戻っていい
笹沼 読み聞かせだと子どもがわからないことも大人が説明できますが、ひとりで読むようになると、子どもが自分の言葉の知識だけで読まなきゃいけなくなる。だから読み聞かせで楽しめる本より簡単なもの寄りになりますが、そこを理解するのが大事だと思います。
だいすけ やさしいものに戻っていい。
笹沼 そうです。その子が楽しくたくさん読めることが一番大事だから、「何歳向け」には目をつむる方がいい。子どもの読書で大切なのは「楽しく・たくさん・幅広く」ですね。これは絶対この順番です。「楽しく」するために本に関わる時間を大切に、「たくさん」読むためにくじ引きの感覚で、「幅広く」の段階でも、難しい方だけでなく簡単な方にも幅を広げてあげてください、と。
だいすけ いやあ、深い! これって、子育てにも重要ですね。まずその子の楽しさを培ってあげる、そうしたら量を増やして、その後で幅広く。効率を図ろうとすると、順番を間違えちゃうんですよね。
笹沼 そうなんです。これは子育て全般に応用が利く話かと。
だいすけ 応用できるし、それがすべてな感じがしますよねえ。いろんな分野で活躍されている方にお話をうかがうと、必ず共通して大切にされているのは「楽しむ」こと。楽しさを見つけられたら、量を増やす、幅を広げるのは、ステップを踏んでいくだけですよね。
笹沼 そう、保護者の方も楽しめる形で、お子さんの読書を考えたいですね。「うちの子に本を読ませなきゃ」と焦っていたら、子どもも緊張しちゃうじゃないですか。
だいすけ ねえ。だから子どもにおすすめの本を調べるのはもちろん、その本を大人がまず読んで楽しむのも、いいかもしれないですね。
シュギョーのまとめ
横山だいすけ
よこやまだいすけ/千葉県出身。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。YouTubeチャンネル「横山だいすけチャンネル」も配信中。
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Twitter:@daisuke_minna
Today’s Master
笹沼颯太さん
ささぬまそうた/1999年千葉県生まれ。東京大学経済学部経営学科3年次に、子どもたちへ豊かな読書体験を届けたいと株式会社Yondemyを設立、代表取締役就任。
「ヨンデミーオンライン」
lp.yondemy.com/
WEBアプリサービスも提供している。
撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと ヘアメイク/安藤千浪 編集協力/原陽子(kodomoe2023年8月号掲載)
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