夏の朝ごはんの定番。宮崎県の「冷や汁」【新連載・おうちでカンタン!郷土ごはん】
子育て中は台所仕事がままならないことって、たくさんありますよね。おいしくて栄養のあるものを食べさせたいけれど、忙しくて料理する時間がない! レパートリーもマンネリ化! そんなときのお助けメニューにできる“郷土料理”を、さまざまな地域で育ったママたちに教えていただく連載が始まります。お話を聞くのは、食のライター・料理家の吉川愛歩さん。初回は、宮崎県の「冷や汁」です。
ムシムシした暑い日にひんやり食べたい!
宮崎県・冷や汁
すり胡麻や薬味をたっぷり入れた冷たいおつゆを、温かいごはんにたっぷりとかけていただく、宮崎県の郷土料理「冷や汁」。冷蔵庫におつゆを冷やしておけば、ごはんどきにパッとかけて食べさせられます。
「食材は、お豆腐ときゅうりだけなのでいつでもできますし、オクラやシーチキンを入れてアレンジしているのを地元の居酒屋さんで見たこともあります。好みの具材を入れて作ってもおいしいと思いますよ」
今回、郷土ごはんを紹介してくれたのは……
一之瀬愛美 さん
いちのせなるみ/会社員。5歳と1歳のママ。宮崎県の海が近い場所で育つ。休日は子どもたちと海へ行ったり畑を耕したり、どろんこ遊びを楽しんでいる。
朝ごはんの定番! 味噌玉で時短にもなる
共働きの家庭で育ったという一之瀬さん。小さな頃から夏の朝ごはんといえば、冷や汁が定番だったといいます。
「母はいつも、胡麻と味噌、すったいりこを合わせた味噌玉を作り置きして、お湯に溶かすだけの状態にしてありました。わたしが上京して一人暮らしをはじめたときも、この味噌玉が届いてすごく嬉しかったのを覚えています。今でもよく作っていて、暑くなってくると“冷や汁が食べたいねえ〜!”と子どもたちが言いはじめるんです。食べると、身体にこもった熱が冷や汁ですうっと冷めていくのか、“涼しくなった!”と喜んでくれます。夏バテしてしまった食欲のないときでも、さっぱりしているので食べやすいですよ」
すり鉢ひとつで作れるから洗いものが少ない!
子育て中はゆっくり台所に立って料理するのも難しいもの。それに、これまで料理をあまりしてこなかった人にとっては、子どもができて急に料理をしなくてはならない状況で、大変な思いをしているでしょう。
「冷や汁なら、料理下手のわたしでも時間をかけずに簡単に作れます。使う調理器具はすり鉢ひとつなので洗いものも少なく、すり鉢ごと食卓に出せば子どもたちが自由におかわりして食べてくれるので、ラクチン。梅肉を少し入れると日持ちするので、忙しい日は多めに作って冷蔵庫に入れておいて、夕飯や翌朝に食べたりすることもあります。母の冷や汁を毎朝のように食べていたわたしが、飽きもせず、今では母と同じように子どもたちに作ってあげているなんて不思議ですよね」
シンプルで滋味深い味わいがクセになる
冷や汁の作り方
さて、教えていただいた料理を、吉川が自宅で試作。家族でおいしく「いただきます!」。
材料(4人分)
きゅうり……1本
大葉……5枚
白胡麻……大さじ2
塩……小さじ1/4
木綿豆腐……1丁(300g)
味噌……大さじ2
お湯……大さじ2
水……4カップ
トッピング(みょうが、ミニトマト、ちりめんじゃこ、かつおぶし、梅肉など)
作り方
1. きゅうりは薄くスライスして塩もみする。大葉は千切りにしておく。
2. すり鉢に白胡麻を入れてすり、1を加えたら、木綿豆腐を手でくずし入れる。
3. 味噌をお湯で溶いてからすり鉢に入れ、水を入れて冷蔵庫で冷やす。
4. 温かいごはんにかけ、お好みでトッピングする。
試食メモ
味噌のコクと胡麻の風味で、何杯でも食べられるおいしさでした! 冷えていたからなのか少し置くからなのか、薬味の主張が強すぎず、普段は大葉やみょうがを食べない子どもたちも「おいしい〜!」といい食べっぷり。大人は柚子胡椒やかんずりなど、ピリッと辛いものを入れるのもおすすめです。
湿度と気温が高くなってくる季節にぴったりの郷土料理。胡麻をすったり、お豆腐をほぐしたり、子どもたちも楽しくお料理できそうですよね。夏には何度も作ってしまいそう!
吉川愛歩
よしかわあゆみ/13歳と5歳の母。暮らしと食のコンテンツ制作に携わり、執筆と料理の仕事をしている。『メスティンBOOK』(山と溪谷社)や『キャンプでしたい100のこと』(西東社)などのレシピ監修も行っている。https://www.instagram.com/yoshikawaayumi/
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