蒼井優さんインタビュー「アンパンマンや絵本から、優しい気持ちを受け取っています」

本日公開の映画『それいけ！アンパンマン　チャポンのヒーロー！』で「チャポン」役を演じている蒼井優さんに、この作品への意気込みやアンパンマンへの思いをインタビュー。2歳の娘さんと一緒に読んでいる、絵本のエピソードもうかがいました。

見る人によって捉え方が変わる
アンパンマンとチャポンのストーリー

――蒼井さんが声を担当したチャポンは、アンパンマンのようなヒーローになることを夢見る男の子。「いいな、素敵だな」と思うものに夢中になる様子に、子どもらしい素直さを感じました。チャポンに対する蒼井さんの第一印象は？

チャポンは子どもなのですが、アンパンマンに会ったときに一人ぼっちだったんです。自分がどこで、誰から生まれたかも分からなくて、心に陰りを抱えているようなところがあって。まだ小さなお子さんは、チャポンのような複雑な境遇の子がこの世界にいることをうまくイメージできないかもしれませんが、大人の私からすると、その背景に少しドキリとしてしまいました。

この作品はお子さんだけでなく、ぜひいろいろな世代の方に見ていただきたいなと思っているんです。見る人によってさまざまな捉え方ができるはずですし、チャポンやアンパンマンたちを通じて、生きるということや自分は何を大切にして過ごしていきたいかを振り返りたくなる作品だと感じています。

――今回はチャポンとアンパンマンの絆も見どころです。アンパンマンの行動には、チャポンがあこがれる気持ちがよく分かります。

アンパンマンは本当にかっこよくて、みんなのヒーローですよね。誰かのために見返りなんて求めずに動くって、なかなかできないことだと思うんです。

――蒼井さんがお好きなアンパンマンのキャラクターは？

私はジャムおじさんが好きです。アンパンマンが誕生するときのお話があるのですが、激しい嵐が続いて何日も外に出られず、パン工場にある小麦粉が尽きかけてしまって、たったひとつしかできないと分かっていても、ジャムおじさんは誰かが喜ぶかもしれないからと言って丁寧にパンを焼くんです。そうしてかまどから出てきたのが、赤ん坊のアンパンマン。アンパンマンに優しさを吹き込んだのは、ジャムおじさんだと思うんです。

二人とも温かい心を持っていて、困っている人を助けることが当たり前で、よく似ていますよね。そういえば、アンパンマンとジャムおじさんって、顔もそっくりですね。

絵本は子育てに欠かせないもの
読み聞かせも楽しくて

――絵本について教えてください。一日の中でお子さんに絵本を読み聞かせをするタイミングは？

夜眠る前だけでなく、いろいろなときに読んでいますね。娘は一冊を最低でも5回連続で読みたがるんです。「もっかい、もっかい」って、5回では終わらないこともあるくらいなんです。

それと、面白いのが「この絵本はお母さん、あの絵本はお父さんじゃなきゃ」といったように、娘の中で読み手が決まっている絵本もあるんですよ。どちらが読んでも喜んでくれる絵本もありますが、例えば『こんとあき』（林明子／作　福音館書店）は「お母さんが読むもの」ということになっているみたいです。

――蒼井さんがお子さんと一緒に読んでいる絵本の中からお気に入りを教えていただきましたが、とてもバラエティに富んでいて。普段からたくさんの絵本に親しんでいることがうかがえます。

娘が生まれたとき、友人たちが「出産のお祝いは何がいい？」と聞いてくれたことがあったんです。友人自身が好きだった絵本を一冊欲しいとお願いしたのですが、そのおかげで、いろいろなバリエーションの絵本に出合うことができました。

手持ちのものとかぶったりと、同じ絵本をもらうことは不思議となかったんです。もしも重複しても、小さいうちに読むものは破れたり、濡れたりして、どうしても補修しきれないことがあるので、何冊あってもいいなと思います。

大切な友人たちが好きだった絵本というのが、また嬉しいんですよね。娘と一緒になって私も楽しんでいます。

蒼井さんが読み聞かせしている絵本

『ごろりん　ごろん　ころろろろ』

香山美子／作　柿本幸造／絵　ひさかたチャイルド　1100円

「ほめてもらいたいからお手伝いや良いことをするんじゃなくて、自分がそうしたいからするという、優しい気持ちが漂っているお話です。どこかアンパンマンにも通じるものがありますね」

『おばけパーティ』

ジャック・デュケノワ／作　大澤晶／訳　ほるぷ出版　1540円

「いろいろなごちそうが出てきて、食べるとおばけの体の色が変わる様子が面白いみたいです。普段の食事のときにも『これを食べると何色になっちゃうかな？』と、一緒に想像するのも楽しいです」

『わにさんどきっ　はいしゃさんどきっ』

五味太郎／作・絵　偕成社　1100円

「虫歯のわにさんと歯医者さんが同じ場面で同じセリフを言うのですが、声を変えて読み分けたりと、読み聞かせのしがいのある絵本です。娘は虫歯に興味を持つようになって、『はははのはなし』（加古里子／文・絵　福音館書店）と交互に読むことも」

ブラウス 42900 円(ヴェニット)／ハルミ ショールーム、パンツ 48400 円(ブノン)／ブノン、リング 149600 円(マリハ)／マリハ、サンダル 19800 円(ラオコンテ)／フラッパーズ、ハット 22000 円(メゾンドリリス)／メゾンドリリス、バッグ 39600 円(シリ シリ)／シリ シリ　
撮影／山本あゆみ　ヘアメイク／ナライユミ　スタイリング／山口香穂　編集協力／菅原淳子

蒼井優さんの、旅とおやつと絵本の話や、アンパンマンの映画のエピソードなど、インタビューの続きは、7月7日発売の「kodomoe 8月号」でお楽しみいただけます！　

蒼井さんが読み聞かせしている絵本をさらに、本誌でもご紹介しています。