2022年9月7日

「スーパーの牛乳パックは前から取ってね」だって、立派な「ゴミ育」になる! 芸人・ゴミ清掃員の滝沢秀一さんとだいすけお兄さんが対談。【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・10】

だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。
第10回のゲストは、お笑い芸人でありながら、ゴミ清掃員としても働く滝沢秀一さんです。ゴミに関する著書や講演などで活躍中の滝沢さんいわく、ゴミを「分別する力」は「思いやり力」につながるそう。その真意とは? 本誌だけでは伝えきれなかったお話を、webでご紹介します!

出し方を間違えると、資源もゴミ扱いに?

滝沢さん(以下滝沢) 「分別力」って、意外と「思いやり力」に近いのかなって話をしたんですけど、そういえば前に集積所でゴミ袋を持ち上げた瞬間に、包丁が飛び出てきたことがあって。

だいすけお兄さん(以下だいすけ) え~っ!

滝沢 めっちゃ怖いでしょ。持ち手の方が先に落ちたからいいけど、逆だったら、ねえ。
 ただ、出した方もきっとそんなに悪気はないはずで、出したらおしまい、なんですよね。でも、その先に誰か回収する人がいるって思えれば、刃の部分にガムテープ一枚巻いてくれたりするのかなと。
 だから、そこまで想像が働いてないのがやっぱり現状なのかなあ、って。まず分別について「知ってもらう」ことが大事かもしれないですね。

だいすけ 本当にそうですよね。「ああ、言われてみれば確かにそうだよね」って、それに気づけるかどうか。

滝沢 たとえば回収するペットボトルに、シャンプー容器が入ってると、僕ら清掃員が手で分けてよけなきゃいけないんです。シャンプー容器は、ペットボトルではないので。
 ただ、出した人も多分悪気はなくて、きっと「なるべくリサイクルしたいなあ、これも近いから大丈夫かな」って。正しいゴミの分別を習っていないからなんですよね。

だいすけ そう、分別で迷うことっていっぱいありますよね。「これ、何ゴミ? 書いてないけど、予想で、こっち」みたいな(笑)。

滝沢 そうそう。もっと周知の工夫が必要ですよね。分別した先で何に利用したいのか、「こういうものを作りたいから、これをこう集めたい」って言うのが一番いいはずで。
 たとえば牛乳パックは、資源回収のときに段ボールや雑誌の間に挟んで出す人がいるんですけど、これだとゴミ扱いになっちゃうんですよ。段ボールは段ボールだけ、雑誌は雑誌だけじゃないと、スムーズにリサイクルできないから。せっかく牛乳パックを洗って切って乾かしても、出し方が間違っていると労力の無駄になっちゃう。
 近所のスーパーの牛乳パック回収コーナーに持っていく方が、確実にリサイクルにつながるから、自分はそうしています。牛乳パック6枚で、トイレットペーパー1ロールになるんですって。

だいすけ 6枚で1ロールになるんですか、あれ。知らなかったあ。

「スーパーの牛乳パックは前から取ってね」だって、立派な「ゴミ育」になる! 芸人・ゴミ清掃員の滝沢秀一さんとだいすけお兄さんが対談。 【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・10】の画像1

「ゴミ育」を楽しむと「生きていく力」も育つ!

滝沢 でもやっぱり、ゴミとして捨てにくいものってあるんですよ。
 たとえば、小学生の防犯ブザー。小さなねじを外して電池と分別するのが大変だからか、そのまま可燃ゴミで出されていて、清掃車の中で鳴り出したことがあるんです。「ビィィィ~」って。そんなん、もう取り出せない。
 なんか事件のような「ビィィィ~」って大きな音を出しながら清掃車が走っていくから、近所の人も「何が起きたんだ!?」みたいな(笑)。

だいすけ そうですよねえ。

滝沢 そう。やっぱり企業も捨てるときのことまで考えて商品を作ってほしいし、消費者も買うときに「これ、捨てられるのかなあ」とかね、ちょっと思ってくれると。

だいすけ 確かに、それって大事かも。買うときに捨てるときのことまで考える人って、なかなかいないですもんね。

滝沢 何かを買う前に「家のあれで代用できるかなぁ?」とかね。大人の消費の仕方って意外と子どもが真似するから、大人がちゃんと見本を見せるのが大事かなと思って。

だいすけ 大人がやっていることって、子どもは必ずやりますよね。親が思うようには育たないけど、親のようには育つって(笑)。

滝沢 確かにねえ。そう、だから、大人が楽しんでゴミ分別をやってると、子どもも自然に覚えたりするんですよね。「あ、ペットボトルだから、こっちに捨てよう」とか言ってると、3歳の娘でも、「これ、なにゴミ?」とか聞くようになってきて。やっぱり楽しんでやるのが一番いいのかなと。
「紙集めゲーム」みたいなことも、家でちょっとやってますよ。捨てるものの中に紙があったらこっちに集めて、どれだけ集まるか、みたいな。紙とプラスチックをよけると、結構ゴミは減るんですよ、3分の1ぐらいは減るのかな。

だいすけ そうやって資源とゴミをきちんと分別すると、結果としてゴミ袋も節約できるし、お財布にも優しいんだよって、浸透するといいですよね。環境にもいいですし。
 ゴミも小さい内から、親子で一緒に「分別すると楽しいよね」って、それも立派な子育てだと思うし。大人にも勉強になるし。

滝沢 「生きていく力」をつけることが子育てだよねえ。小さい頃から親と一緒にやっていれば、分別力は養われる。ゴミ分別ゲームとか開発しますか、我々で。

だいすけ 開発しますか、「ゴミ分別の歌」とか(笑)。楽しんでできるといいですよね、何事もね。苦手意識がつく前に。

滝沢 「ゴミ分別の歌」、いいねえ。
 理想を言えば、「ゴミ」という言葉がなくなると一番いいですよね。全部「資源」という扱いになれば。
 子どもたちは義務教育の間に、ゴミ収集も一回ぐらい体験した方がいいんじゃないかなと思って。まわりの大人も「あ、小学生が回収してるんだったら、こんな捨て方できないなあ」とか思うだろうし。子どもたちも自分が回収する側になるとね、「こんな捨て方していて、悪かったなあ」って振り返ったりできる。

だいすけ そうですよね。さっきお話にあった、人の捨てたゴミをさらに分別することなんて、すごく大変だと思うんです。何が入ってるかわからないから。
もし清掃員の方と一緒に体験して、いろいろ教えてもらって、「あ、こんなに大変だったんだ」って思ったら、ゴミの捨て方も変わりますよね、きっと。

シェア
ツイート
ブックマーク
トピックス

ページトップへ