寒空のなか、公園で遊んだ日も。コンビニ弁当に子どもたちの反応は?【我が家のごはん日記/吉川愛歩さんちの食卓・4】
忙しいママにとって、日々の家事の中で悩ましいのがごはんのこと。適度に手を抜きたいけれど、家族には栄養のあるものをバランスよく食べてもらいたい。では、食にかかわるお仕事をしているママたちは、家族のごはんをどうしているの?
今月の「我が家のごはん日記」を担当いただくのはフード&ライターで、12歳女子と4歳男子のママである吉川愛歩さんです。いよいよ吉川さんの最終回。今週も子どもたち作のおかずも登場、今週最後には、毎月恒例の「1か月おつかれさま会」も開催されたようです。
吉川愛歩さんちの食卓 #week4
いよいよ最終回。みなさんはどんなものを食べてきた1か月だったでしょうか。我が家は今週も慌ただしく、でもみんなで元気に「おいしいね」ってできた日々を送りました。
<月曜日・朝>
相変わらずの地味な朝ごはんからはじまる一週間。 今日は子どもたちがチンたまを作っていました(このネーミングどうなのよって思うんだけど)。生たまごを割って、爆発しないように黄身に何箇所か爪楊枝を刺してからチンする、温泉たまごのようなもの。
<月曜日・夜>
今日のメニューは焦げた餃子とサラダ、冷蔵庫にあった厚揚げも焼いて、お漬物、具沢山味噌汁にごはんでした。
忙しいときも手づくりのごはんなのでしょうか、という質問をいただきました。趣味が料理なので、忙しいとむしろストレス発散に料理したくなり、1日1回くらいは煮炊きしたいと思っています。ただ、時間的に難しくなることはあるので、なるべく夕方一気に忙しくならないよう、「夕飯におけるスモールステップの法則」で乗り切ります。
例えば、この日のメニューは餃子でした。餃子って包むだけでも時間がかかるのに、野菜もみじん切りにしなきゃいけなくて大変。でも子どもたちは大好きです。なのでまず前の晩、白菜やニラなどの野菜をみじん切りにして、冷蔵庫に入れておきました。今朝はそれにひき肉や調味料を合わせて、タネにしておきました。夕方帰ってきたら4歳男子と包んで焼きます。高い目標設定(餃子作り)に至るまでに小さな目標設定(野菜みじん切り、タネ捏ねる)をしておくと最終目標を達成しやすい……、これ、仕事で昔々習った法則です(笑)。
<火曜日・朝>
仕事の合間にひとりでランチ。何度行っても何度も行きたくなる、だし巻きたまご焼きのお店です。ふわふわのたまご焼きと小鉢、いっぱいのお漬物、おひつのごはんに赤だし。カウンター席からはだし巻きをつくる料理人の背中が見えて、お店の雰囲気も大好き。
<火曜日・夜>
今日は、ウマヅラハギの煮付け、4歳児作サラダ、にんじんの粒マスタードとクミンあえ。根菜の酒粕味噌焼き、おみやげでもらったお漬物の数々、寝かせ玄米、お味噌汁でした。 根菜の酒粕味噌焼きは、前の晩にレンコンやにんじん、ごぼうなどを茹でて、酒粕と味噌を揉み込んで冷蔵庫に入れておき、夕方帰ってきてからオーブンに投げ入れました。寝かせ玄米は、先週炊いた小豆入り玄米を、炊飯器で何日か寝かせておいたものです。
夕食のときは、みんなでゆっくり顔を合わせられる時間でもあるので、食べながらその日の報告をします。なんにもなくてもいいけど、せっかくだからなにか見聞きしたものをみんなにもシェアしてよ、って言って。
4歳男子は、保育園での遊びのことや大好きな先生の話をしてくれます。12歳女子はほとんど、その日の給食がいかにおいしかったかという話をしてきます。彼女には、学校に行けなくなった時期があるのですが、その少し前から学校でごはんが食べられなくなっていました。つまり給食がおいしいっていうのは、学校を楽しめているということでもあるんですよね。 おいしいっていうのは不思議です。食べているものは変わらなくても、おいしくなくなってしまうときがある。「おいしい」は、身体と心のバロメーターなんでしょうね。
ただ、子どもたちの行儀が悪いので、そんないい話を聞きながらも「左手!」とか「お箸!」とかうるさいわたしです。子どものお行儀ってどうやったらよくなるんでしょうかね?
<水曜日・昼>
ふたたびひとりランチ、しかもきのうと同じ街。ここは鰯を炭火で焼いた丼がおいしいのですが、行くたび長蛇の列でなかなかタイミングが合わないんです。この日はちょっと早めに着いたので一番乗り! 焼きあがったばかりの鰯はバリッと歯ごたえがよく、お魚やお米の味を損なわないよう、薄味のタレで味つけされています。隣の男性が「おいしい! おいしい以外に言葉が思いつかない」って感動して食べていて、つい「そうでしょー!」って言ってしまいそうでした。
<水曜日・夜>
疲れた……。ややヘビーな内容の取材が続いたので、肉体的にというより精神的に疲れてしまった水曜日。風が強くて寒かったのもあり、かぼちゃほうとうをつくりました。山梨に住んでいたことがあるので、ほうとうには親しさと懐かしさを感じます。すき焼き鍋にだし汁を入れたら、根菜や鶏肉、白菜などとほうとうを煮込んで、お味噌で味つけ。お鍋1個で済むごはんは本当に楽。
<木曜日・昼>
今日は朝から晩までスタジオで撮影。毎回からだにやさしいお弁当をチョイスしてくれるディレクターさんのおかげで、楽しくお仕事できました。
<金曜日・おやつ>
今日は和菓子屋さんへ取材に伺ったので、おやつに和菓子を買いました。パウンドケーキに見えるのは、あん焼き。あんこにバターやアーモンドプードルを混ぜて焼いた和菓子なんです。下はいちごわらび。上品な味でうっとり……でしたが、子どもたちが食べるのは一瞬でございました。
<土曜日・昼>
寒空のなか公園で遊んだ日。バタバタしていて焼きいもしか持って出かけられず、お昼ごはんはコンビニで買いました。あんまりないことなので、子どもたちは大喜び。4歳男子には稲荷寿司、12歳女子にはおにぎりと、小さめのそぼろ弁当を買ったのですが、そぼろを食べはじめたら「この下にごはんが入っているとは思わなかった!」と言うので大笑い。お肉とたまごだけの方がよっぽどびっくりだよ!
<土曜日・夜>
我が家には毎月、「○月おつかれさま会」という名の打ち上げがあります。だいたい月末近くのゆっくりできそうな日に、みんなで食べたいものを出し合って打ち上げをします。近所のイタリアンに行くときもあれば、子どもたちが大好きな串カツ田中や回転寿司のときもあれば、家でピザを焼いたりすることも。今月は、わたしがシンハー飲みたいっていう理由で、近所のアジアン料理屋さんへ。
昔から仕事がひとつ終わったあとの「打ち上げ」が大好きで、子どもたちにも「打ち上げしようよ〜」と持ちかけたのがはじまりです。まあ、全然言うこと聞かない子たちなんですけど、ほんっとうにいい子たちなので、いつも保育園で待っててくれてありがとう、家事のサポートもありがとうね、っていう感謝の会でもあります。
もちろん自分自身にも、がんばって働いたね、がんばって母したね、という労いの言葉を。
<日曜日・夜>
4週にわたり、我が家の食事情を読んでいただきましたが、これが最後のお料理。トレイが使いたいという子どもたちのために、本日は定食風。メニューは、ほうれん草のお浸し、にんじんのカレーラペ、4歳児作ズッキーニの塩焼き、焼き魚、だし巻きたまご、見切れているのが大根と豚バラの煮物、大豆の茹で汁でつくったお味噌汁、ごはんと、相変わらずの夕飯です。
今日は子どもたちとお味噌を仕込みました。毎年1月になると、1年分のお味噌をつくります。お味噌を仕込んだ日は、大豆を茹でたときの茹で汁に、ありものの野菜を入れて味噌をちょっと溶き、お味噌汁にするんですよ。普段のとは違ってとろみがあり、豆の甘みと香りがするおつゆです。
ちょっとカレーパウダーを振って、いつもと違う風味にしたキャロットラペを「おいしい!」と、お代わり用のボウルまで抱えて食べてくれたふたりの子どもたちでありました。
さて、そういうわけで吉川家のごはん日記はこれでおしまい。我が家は明日もまた、いつものごはんとお味噌汁の朝ごはんからスタートです。
フード/ライター。4歳と12歳の母。出版社で勤務したのち、フリーライターに。雑誌やweb、パンフレットや食品パッケージなどの調理と執筆の仕事をしている。ときおりオウチゴハンヤとして、お弁当のケータリングや出張料理を行う。野菜を中心にした、飾らない普段のごはんが好き。
Instagram @yoshikawaayumi