
『お城の迷路』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第372回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。
『お城の迷路』
香川元太郎・香川志織 /作・絵 PHP 研究所 1650 円
4月6日は、「し(4)ろ(6)」で城の日。
今回はこの日にぴったりの1冊、『お城の迷路』をご紹介します。
お城のある公園に現れたしろねこロボット「しらたま」は、未来から来た警察ロボット。
いろいろな時代のお城から宝を盗む泥棒・ヌストー団を追っているのです。
さあ、「しらたま」と一緒に、迷路のようなお城をめぐって、ヌストー団から宝を取り戻しましょう。
ページをめくれば、「戦国の山城」「イスラムの王宮」、「中国の城」に「竜宮城」まで、時代も場所もさまざまなお城が次々登場。
同じお城で難易度の違う迷路が2種類、それ以外にもかくし絵やさがし絵と、遊べる要素がもりだくさん。一度読んだだけでは終わらない楽しさが魅力です。
長い歴史の中で、戦いの拠点であり、その時代の文化の中心地でもあったお城。
その建築の妙はもちろん、人々の服装や風物など、迷路をたどりながら歴史や文化にも触れられます。
作者の香川元太郎さんは、もともと歴史考証画が専門のイラストレーター。
細部まで精巧なイラストは、すべて事実確認をしながら丁寧に描かれています。
香川さんは、家で描いてあげた迷路に夢中になるわが子をきっかけに迷路の絵本を考え始め、2005年に初めて『時の迷路』を刊行。
すぐに人気シリーズとなり、累計発行部数は338万部超、海外でも翻訳出版されています。
『時の迷路』に始まり、『昆虫の迷路』や『乗り物の迷路』、『忍者の迷路』に『スポーツの迷路』とさまざまなテーマを描き、シリーズ20周年の21作目に、満を持して「お城」という自らの専門分野に取り組みました。
昨年12 月12 日に、65歳で急逝された香川元太郎さん。
20年間、読者を夢中にさせてきた香川さんの渾身の作品を、ぜひお楽しみください。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。
