節分の季節に読みたい絵本『おふくさん』をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】
ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。過去にご紹介した絵本の中から、「節分」の季節に読みたい絵本をご紹介します。
おふくさん
『おふくさん』
服部美法/文・絵 大日本図書 1430円
1月も終盤、もうすぐ節分ですね。
今回は、怖~い鬼も愉快に一本取られてしまう、『おふくさん』をご紹介します。
表紙から福笑いで笑顔がはじけている、おふくさんたちは全部で10人。
山の奥深くのおうちで、毎日にこにこ、仲よく暮らしています。
ところがある日、いきなり赤鬼がガラッと戸を開けました。
「やい、おふくども!
いまから おまえたちを こわがらせてやるぞ。
かくごしろ!」
でも、おふくさんたちはへいきのへっちゃら。
「おやまあ、なんて こわいかお!」
「こわい かおは つまらない!
おにさん、いっしょに わらいましょ」
着せ替えごっこに、おいしい豆大福、おふくさんたちがあの手この手で笑わせようとしても、鬼は
「だめだ だめだ!」
と怒ってばかり。
「おにさん どうすりゃ わらうかな?」
おふくさんたちが、最後に試したとっておきの技は……。
これはぜひ、中を読んで確かめてくださいね。
さすがの鬼も、こらえにこらえたけれど、
「わっはっはっはっはー!」
と大笑い。
おふくさんたちといつも一緒のねこちゃんやわんちゃんにも、子どもはきっと興味津々のはず。
見返しも、裏表紙にも、見逃せないお楽しみがいっぱいです。
わたしは『おふくさん』をはじめて読んで、「ああ、これからずーっと笑って過ごそう」と思ってしまいました。
『いいからいいから』(長谷川義史/作 絵本館)同様に、日々の「イラッ」を祓うためのお守りとして、表紙を飾っておきたい絵本にランクイン。
最近どこかで「子どもがお母さんに望むのは、笑顔だけ」という言葉を聞いたばかりなので、なおさら胸にしみました。
選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。