2023年2月28日

『ねこいる!』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第353回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。

『ねこいる!』
たなかひかる/作 ポプラ社 1595

前回は猫の日にちなんで猫の絵本をご紹介しましたが、今回も猫つながりで、昨年から話題沸騰中の猫の絵本をご紹介。
第6回未来屋えほん大賞第3位、キノベス!キッズ2023第4位、第15回MOE絵本屋さん大賞2022第5位、第3回TSUTAYAえほん大賞第7位と、数々の絵本賞に軒並みランクインしている『ねこいる!』です。

紙袋に入っている、おいしそうなバゲット。
「ねこいる?」
と聞かれて、(ねこ……?)とページをめくると、
「ねこいる!」「ババーン」
と、バゲットの中から勢いよく飛び出してくる、ねこ。
次は、リコーダーを吹こうとしている女の子。
「ねこいる?」
とまた聞かれて、(もしや……)とページをめくると、
「ねこいる!」
と、今度はリコーダーの穴から「ババババババババーン」!
律儀に全部の穴の数だけ、ねこが飛び出してきます。

帯のキャッチコピーは、
「ねこがいるか、いないか。ただ、それだけ!」。
まさにその通りの、思わぬところから、ただねこが現れるだけの絵本。
なのに、一度読んだ後でも
「ねこいる?」
「ねこいる!」「ババババーン」
の快感を、また繰り返したくなる不思議な中毒性。
作者はお笑い芸人でギャグ漫画家、絵本作家としてはこれが2作目の絵本となった、たなかひかるさん。
さすが笑いのプロ、家族みんなで理屈抜きに大笑いできます。
最後の最後まで、そして読み終えた後もまた、思わぬところにねこが見つかりますよ!
たなかさんは3作目の『おばけのかわをむいたら』(文響社)も、第15回MOE絵本屋さん大賞2022の第19位にランクイン。2月発売の最新刊『すしん』(ポプラ社)も早くも話題と、ますます目が離せない存在です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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