2022年12月30日

『新装版 おせちのおしょうがつ』【今日の絵本だより 第339回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『新装版 おせちのおしょうがつ』
ねぎしれいこ/作 吉田朋子/絵 世界文化社 1430円 

 年の瀬も押し迫り、お正月も間近ですね。
お正月といえば欠かせないのが、おせち料理。
今回ご紹介する『新装版 おせちのおしょうがつ』は、こぶまきやきんとんや黒豆、おせちでおなじみの食べ物たちが主役のお話です。

おせち料理のみんなが、かがみもちの家を訪ねることになりました。
重箱の車に、黒豆や紅白かまぼこたちが乗り込んで出発します。
真ん中でハンドルを握るのは、かずのこ。
「こどもの かずが たくさんに なるようにって
 いう いみが あるんだ」。
道端にやってきたのは、こぶまき、それからえび。
こぶまきは
「よろこぶの こぶと いう じが
 ついて いるから、おいわいの たべものなんだよ」。
えびは腰が曲がっているから、
「おとしよりのように
 ながいきできるって いう ことなの」。
みんなにこにこ自己紹介します。

おせち料理のそれぞれに意味があるとはよく聞きますが、ひとつずつの説明までは大人でもなかなかできないもの。
その由来がお話の中で自然に出てくるだけでなく、前後の見返しでも詳しい解説が掲載されています。
紅白かまぼこの紅、白それぞれに意味があること、それからだてまきにもその形になぞらえた意味があると、私も今回初めて知りました。

さてさて、こぶまきやえびの他にも、おせちの仲間が次々にやってきて、重箱の車に乗り込みます。
にぎやかになった一行は、
「こぶまき まきまき きーんとん、くろまめ まめまめ ご・ま・め」
と、みんなで歌いながら楽しくドライブ。
この歌は、カバー袖についたQRコードから聞ける特別仕様。
おせちの支度のBGMにも、カラオケバージョンは親子で一緒に歌うのもおすすめです。
羽子板の押し絵のような半立体の絵も、お正月気分を盛り上げてくれますよ。

それでは皆様、今年も「今日の絵本だより」をご愛読いただき、ありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えください。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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