2022年12月22日

『クリスマスのおとしもの』【今日の絵本だより 第336回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『クリスマスのおとしもの』
えがしらみちこ/作 講談社 1540円

前回に続けて、今回も今年の新刊クリスマス絵本をご紹介。
『クリスマスのおとしもの』の作者は、kodomoe発『あかちゃんといっしょ』(白泉社)でもおなじみの、えがしらみちこさん。
これまでにたくさん絵本を出されているえがしらさんの、初めてのクリスマス絵本です。

黄色いお洋服がよく似合う、ぷくぷくほっぺのかわいい子。
くまちゃんをおんぶして、わんちゃんと一緒に雪の野原を歩いていたら、あれれ?
白い雪の上に、青いバケツが落ちてるよ。
「おとしもの おとしもの
 あおい バケツは
 だれのかな?」
バケツを高くかかげて歩いていくと、
「はーい ぼくのだよ」
ゆきだるまさんが、手をあげておしえてくれました。
「はい どうぞ」
とかぶせてあげたら、あれれ?
今度は、黄色いわっかが落ちてるよ。
「おとしもの おとしもの
 きいろい わっかは
 だれのかな?」
わっかを手にして歩いていくと、
「はーい わたしのよ」
そう言って、次に現れたのは……?

「だれのかな?」
「はーい」
のやりとりを楽しむうちに、落とし主の仲間がひとりずつ増えて、いつの間にか素敵なクリスマスツリーまでできてしまうこのお話。
絵本のカバーでは、ツリーの飾りや、てっぺんのお星様が金の箔押しになっているのも、クリスマスらしいスペシャル感。
クリスマスのお話って、まだ小さいお子さんにはなかなか理解が難しいこともありますが、この絵本の対象年齢は2歳から。
小さなお子さんがいるおうちでも、みんな一緒にクリスマスの空気を楽しむのにぴったりの一冊です。

ところで、おとしものが次々に続くこのお話ですが、言葉で語られてはいないけれど、絵の中にひとつ気になるおとしものが。
これは、子育て経験者はみんな「あっ!」と気になるおとしものではないでしょうか……!
でも、大丈夫。
絵本のどこかに、とても幸せな結末が待っていますよ。
こういう喜びをそっと忍ばせられる、絵本って素敵な入れ物だなと、しみじみうれしく思います。
それでは皆様、どうぞよいクリスマスを!

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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