2022年8月22日

『ことりのメル おっこちる』【今日の絵本だより 第311回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ことりのメル おっこちる』【今日の絵本だより 第311回】の画像1『ことりのメル おっこちる』 
コーリー・R・テイバー/作 よしいかずみ/訳 化学同人 2090円

夏は冒険の季節。
初めてのことにも思い切ってチャレンジしたくなるような、新しい世界へ背中を押してもらえるような、特別な空気感がありますよね。
発売中のkodomoe8月号では、巻頭特集で「はじめての冒険」絵本を11冊紹介しています。
今回はぜひそのラインナップに加えたい新刊、縦にめくるページが新鮮な、『ことりのメル おっこちる』をご紹介します。

ある日、高い木の上で、ことりのメルは決めました。
「よーし、とんでみよう。
 わたし、もう じゅうぶん おおきくなったもの」
きょうだいたちは聞きます。
「こわくないの?」
「ここは かなり たかいよ」
確かにその通り。
でも、メルは今日、飛ぶと決めたのです。
さあ、枝から勢いよくジャンプして、
「いってきます!」

そして、空の上へ、でなく、下に向かって、まっさかさま。
翼をぴーんと伸ばしたまま、体にぴったりくっつけて、どんどん下へ。
同じ木に住む仲間は、上から勢いよく落ちてくるメルにびっくり。
リスも、ミツバチも、クモも、アリも、みんなメルを助けようとするけれど、誰も受け止められません。
このままでは、メルは地面に激突!?
と思ったら……!

ここで本をくるっとひっくり返すと、今度は予想外の展開が。
落っこちるメルにハラハラドキドキ、そして絵本をくるっ、からの、驚きとワクワク。
最初から最後まで、迷いなくまっすぐまっすぐ進むメルを、「がんばれー!」と応援したくなること間違いなし。
勇気あるチャレンジと、爽快感と、達成感。
日々新しいことに挑戦する、毎日が「はじめての冒険」続きのお子さんと、ぜひ一緒にお楽しみください。
無事に戻ったメルを迎えるママの一言も、じんわりと素敵ですよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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