2022年8月2日

『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』【今日の絵本だより 第306回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』【今日の絵本だより 第306回】の画像1『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』
ララ・ホーソーン/作・絵 新沢としひこ/訳 教育画劇 2750円

夏まっさかり、暑すぎるくらいではありますが、海の季節到来ですね。
発売中のkodomoe8月号では、巻頭特集「絵本を旅する」内の「空、海、山の本」で、海の絵本を13冊紹介しています。
今回はその中から1冊をピックアップ、『アルバ うつくしいうみをまもった100さいのさかな』をご紹介します。

アルバは、海の底に暮らす100歳の魚。
小さな頃から、色鮮やかな魚たちがたくさん行きかうサンゴ礁の町で、水玉模様の貝殻の家に住んでいました。
アルバが大好きなのは、美しいものを集めること。
水玉やしましま、クルクルうずまきの貝殻、大好きなコレクションに囲まれて、アルバはうっとり幸せに暮らしていました。
ところが長い年月を過ごすうちに、アルバはだんだんと海の中の美しいものが少なくなっていることに気がつきました。
代わりに、今まで見たこともない奇妙なものが流れ着き、サンゴ礁の町は少しずつ寂しく、色を失っていきます。
たくさんの仲間たちもいつしか去っていき、気がつけばアルバは、暗く濁った海の底でひとりぼっち。
ある日、久しぶりに美しく輝く真珠を見つけますが、喜びも束の間、ペットボトルの中にその身を捕らわれてしまいます。

鮮やかに輝くサンゴ礁の町が少しずつ色を失い、地上のゴミが水底にたまっていく様に、理由もわからずその中で漂うアルバの悲しみに、胸が痛みます。
いつしか人間が変えてしまった、海の中の世界。
でも、お話は嘆きだけでは終わりません。
アルバが入ったペットボトルを偶然浜辺で見つけた女の子は、アルバにこう伝えます。
「しんぱいしないで。あなたを きっと
 あんぜんな うみに もどしてあげるからね」

私たちが汚してしまった海を、私たちが蘇らせる未来。
ひとりひとりきっとこれからできることがあると、アルバの笑顔を見ながら、親子で希望をわかち合いたい一冊です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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