2022年5月27日

『ごみじゃない!』【今日の絵本だより 第296回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ごみじゃない!』【今日の絵本だより 第296回】の画像1『ごみじゃない!
minchi/作・絵 PHP研究所 1430

530日は、ごみゼロの日。
「ごみみたいだけど ごみじゃない
 たからものコンテストを かいさいします」
という言葉で始まる絵本、『ごみじゃない!』。
主人公の女の子が紹介するのは、どんな宝物でしょう?

「そのいち! けしごむの けしかす」。
理由は、「あつめて こねると ねりけしになる」。
「そのに! いろえんぴつの けずりかす」。
これは、「カールしていて とっても きれい」だから。
折れた鉛筆の芯は、「まだまだ つかえる」。
ばらばらに砕けた消しゴムは、「こまかい ところを けすのに べんり」。
ママ目線だと「えええ~!?」と困惑、「……捨てない?」と思わず心の声が出てしまうような謎の宝物が、85個も続きます。

魚の形のしょうゆさしは、何匹も集めてきんぎょすくいごっこ。
お寿司についている緑のばらんは、貼り絵の草に。
3枚つなげて輪にしたら、緑の冠もできちゃいます。
果物にかぶせてあるネットはお人形のスカートに、大きめのものは自分のニット帽に。
1本ずつほぐせばおままごとのうどんになるし、オレンジ色のネットならミートソーススパゲティ。
「ごみみたいだけど ごみじゃない」あれこれの、活用範囲は無限大!

作者は『いっさいはん』や『にゅうしちゃん』(岩崎書店)で人気のminchiさん。
その渦中ではくらくら来ても、過ぎてしまえば愛おしい、この時期にしか味わえない子どもあるあるを、『ごみじゃない!』でも存分に堪能させてくれます。
親子で読んでいると、きっと最初は苦笑いのママも、「うんうん」「そうそう!」と子ども心がよみがえるはず。
大人の目では何でもないものが、子どもの目を通すときらきらと光を放つ魔法。
そんな魔法のおすそわけも、子育て中の特権ですよね。

発売中のkodomoe6月号「季節の絵本ノート」では、『ごみじゃない!』をはじめ「ごみゼロ」にちなんだ絵本を5冊紹介しています。
収集車や環境問題など多角的なごみの絵本のラインナップ、ぜひ合わせてお楽しみください。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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