『こいのぼりセブン』【今日の絵本だより 第291回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『こいのぼりセブン』
もとしたいづみ/作 ふくだいわお/絵 世界文化社 1320円
GWも後半、あちこちで空に泳ぐこいのぼりが見られますね。
今の時期にちなんで今回ご紹介するのは、『こいのぼりセブン』。
ちょっと変わったタイトルは、おっちょこちょいなヒーロー・セブンが一年の行事を教えてくれる「セブンの行事えほんシリーズ」だからなのです。
「なんだ? あれは!」
にこにこえんの空に現れたのは、
「とりだ! ひこうきだ!
ながれぼしだ!」
「いや、こいのぼりセブンだ!」
さっそうと現れたこいのぼりセブンは、にこにこえんのこいのぼりのひもにつかまって体をなびかせ、
「わーはっはっは。
ことしも こどものひが やってくる。
こいのぼりも げんきに およいで いるぞ!」
とごきげんです。
でも子どもたちは、ちょうどお散歩にでかけるところ。
「じゃ、がんばってね」
「バイバーイ」
と言われて、セブンもあわてて着いていきます。
着いた公園の池には、鯉がいっぱい。
みんなでえさをあげていると、れおくんが
「あれ? こいって、こいのぼりの こい?」
とセブンに聞きました。
「うん、そうだよ!」
と、セブン。
こいのぼりの由来を説明しようと、子どもたちと一緒に雲に乗り、いざ昔の中国へ。
鯉が勇ましく滝を登り、龍になる様子を目の当たりにします。
「行事」×「ヒーロー」という組み合わせ、だけど、お勉強感もバトルもなし。
一生懸命だけど、どこかとぼけたセブンに笑っているうちに、いつのまにか行事の由来がよくわかる、愉快なお話です。
シリーズは『おしょうがつセブン』『せつぶんセブン』『ひなまつりセブン』など、現在7冊が発売中。
にくめないセブンにまた会いたくなる、クセになる味わいのシリーズですよ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。