『あんなに あんなに』【今日の絵本だより 第262回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『あんなに あんなに』
ヨシタケシンスケ/作 ポプラ社 1320円
本日12月28日発売のMOE2月号で、年末恒例、第14回MOE絵本屋さん大賞2021が発表になりました。
全国の絵本屋さん3000人の投票で決定した2021年の絵本ランキング、第1位を受賞したのは、ヨシタケシンスケさんの『あんなに あんなに』です。
ひっくりかえってだだをこねた、あんなにほしがってたおもちゃ。
あっという間に、もうこんなふうにあきられて。
かたづけて掃除して、あんなにきれいにした部屋。
もうこんなに散らかって。
突然熱を出して、あんなに心配だったのに、もうこんなに元気になって。
あんなに短く切った髪も、もうこんなに伸びちゃって。
あんなに小さかったのに、もうこんなに大きくなって。
親子でともに過ごした日々は、いつの間にか一区切り。
お母さんの背丈を越した息子は、大人になって家を出て、それからも月日は流れます。
そして、ある日。
あんなに連絡がなかった息子が、新しい家族を連れてやってきました。
子育てはずっと、「あんなに」と「もうこんな」の繰り返し。
小さな赤ちゃんを抱きながら、お母さんが思うのは、
「あんなに あんなに
あんなに いろいろ あったのに」
……それに続く一言には、思わず涙。
実際、「立ち読みで泣いてしまった」という読者の声も聞かれるこの作品、子育て真っ最中のkodomoe読者にはぜひおうちでゆっくりと(涙がこぼれても大丈夫なように!)、読んでほしい一冊です。
MOE2月号では、作者のヨシタケシンスケさんの受賞インタビューを掲載しています。
感動の物語には、隠れた意外なエピソードも!?
MOE絵本屋さん大賞、通算14回中なんと7回目の第1位に輝いたヨシタケさんの楽しくも胸に響くインタビュー、ぜひご覧ください。
次回は年明けにMOE絵本屋さん大賞部門賞、kodomoe読者の投票で決定したパパママ賞第1位の作品をご紹介します、お楽しみに!
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。