2021年7月27日

『すいかのたね』【今日の絵本だより 第227回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『すいかのたね』【今日の絵本だより 第227回】の画像1『すいかのたね』
グレッグ・ピゾーリ/作 みやさかひろみ/訳 こぐま社 1210円

7月27日は、すいかの日。
昨年のすいかの日にはこちらをご紹介しましたが、今回はちょうど6月に発売になったばかりの新刊を。
すいかがとても好きなワニくんが主人公の、『すいかのたね』です。

お話の最初から、
「ぼく、すいかが だいすきなんだ!」
と、両手ですいかを抱えたワニくん。
赤ちゃんワニの時からずっとすいか好きと、年季が入ってます。
あさごはんにすいか、ひるごはんにすいか、ばんごはんにもすいか。
デザートにもすいか。
「すいか、さいこう!」
とごきげんでしたが……、
「ごくん。」
あらら、すいかのたねを、飲んじゃいました。

さあ、途端に不安になってきたワニくん。
「おなかの なかで
 そだっちゃうかも。」
「つるが のびて、
 みみから でてきちゃうかも。」
いろんな心配が次から次へ、とまりません。
「えーん、
 だれか
 たすけてー」
と、ワニくん、ついにひざを抱えて泣き始めてしまいました。
「たねを飲んじゃって、芽が出てきたらどうしよう」というお悩みは、世界共通なんですね!

ワニくんの豊かな喜怒哀楽が愉快なこの絵本は、まるですいかの香りがしてくるような読後感。
なぜかと思ったら、一冊丸ごと、ほぼ赤、緑、黒と、すいかカラーだけで描かれているんですね。
さわやかでみずみずしくて、シンプルなのに繰り返し読みたくなる。
まさに、すいかと重なる魅力です。
さあ、涙にくれたワニくんは、その後どうなったのか。
それはぜひ、絵本を開いて確かめてみてくださいね。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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