2021年7月23日

『ひきだしマンションとおてがみちゃん』【今日の絵本だより 第226回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ひきだしマンションとおてがみちゃん』
ひらぎみつえ/作 ほるぷ出版 1540円

本日7月23日は、ふみの日。
前回はこちらのお手紙の絵本をご紹介しましたが、続く2冊目はこちら。
『ひきだしマンションとおてがみちゃん』です。

はるちゃんの黄色い通園かばんに、そっとかくれているのは、おてがみちゃん。
はるちゃんのおともだちのさおりちゃんが、内緒で入れたのです。
かばんの中で
「はやく よんで ほしいな。」
と待っている、おてがみちゃん。
ところがおうちに帰ったはるちゃんは、気づかないまま行ってしまいます。
あわてて顔を出そうとしたおてがみちゃんは、かばんの外に落ちてしまいました。

そこは、はるちゃんのひきだしマンション。
えんぴつのぴっつくん、金メダルのメダルン、たくさんの仲間がひきだしから出てきて、おてがみちゃんを大歓迎。
ひきだしマンションを、順番に案内してくれました。
まず1階には、「くれよんのへや」や、けしゴムのけっしーのおうち。
2階の「きらきらのへや」には、きれいな石や貝がら、ビー玉、はるちゃんの大事なものがいっぱい。
3階には、はさみのチョキットさん、水のりののりこさん、工作遊びの仲間たち。
ここにある金や銀の折り紙でキラキラに変身したら、はるちゃんに気づいてもらえるかも?
そう考えたおてがみちゃんに、思いがけないピンチが再び……。

いろんなシール、どんぐり、丸めてピカピカにしたアルミホイル。
空き箱を切って貼って作った、小さなお部屋。
ひきだしの中にそうした大事なものを並べて、自分だけの国をつくった、懐かしい記憶がよみがえる人も多いのではないでしょうか。
ひきだしの仲間みんなの手助けで、無事にピンチを乗り越えて、ようやくはるちゃんに読んでもらえたおてがみちゃん。
ほっこりうれしいラストの後には、裏表紙に描かれた、ひきだしマンションの新しいお部屋にも注目ですよ。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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