2021年3月16日

『おねぼうさんはだあれ?』【今日の絵本だより 第196回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『おねぼうさんはだあれ?』【今日の絵本だより 第196回】の画像1『おねぼうさんはだあれ?』
片山令子/文 あずみ虫/絵 学研プラス 本体1400円+税

3月もなかば。
外の空気にも少しずつ、春の柔らかさが増してきましたね。
今回は発売になったばかりの新刊、表紙から春の光がこぼれるような、『おねぼうさんはだあれ?』をご紹介します。

森に春が来ました。
うさぎのミミナちゃんは、冬ごもりからなかなか起きてこない友達のお家を訪ねに行きます。
初めは、森の中の大きな木の家。
とんとんとん、とドアをノックしても、返事がありません。
「おきて おきて、もう はるよ」
ミミナちゃんがのぞいてみたら、お家の中はまっくら。
「おねぼうさんは だあれ? それは くまの フワくんよ」
まだまだ気持ちよさそうに眠っているフワくんの枕元に、ミミナちゃんは
「はるに なったよ。いっしょに あそぼう」
と、シロツメクサの花束をそっと置いていきます。

次に向かったのは、木の高いところにある小さいドアのお家。
はしごを登って、とんとんとん。
「おきて おきて、もう はるよ」
やっぱり起きてくれないやまねのクルリくんに、ミミナちゃんはスミレの花束を置いていきました。
それから、とかげのスールちゃんのお家、かえるのピョントくんのお家を訪ねますが、
みんな目を開けてくれません。
「あーあ、だれも おきて くれない」
花束のかごも、からっぽになってしまったミミナちゃん。
野原のひなたに座っていたら、ぽかぽか、うとうと……。

緑の森の空気、小さな花束の香り、おひさまの光いっぱいの野原。
そして、大好きな友達を思う気持ち。
片山令子さんの優しい言葉と、あずみ虫さんの明るくのびやかな絵が響きあい、小さな幸せがいくつもかけあわされて、どのページからも春のうれしさがあふれてくるようです。
新刊なのに懐かしく温かい、すでに春の定番絵本のような。
一読したらもう、今年はよい春になりそうな、そんな気持ちになってしまう一冊です。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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