2020年12月23日

『しかけえほん クリスマスって なあに』【今日の絵本だより 第178回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『しかけえほん クリスマスって なあに』【今日の絵本だより 第178回】の画像1『しかけえほん クリスマスって なあに』
ディック・ブルーナ/作 ふなざきやすこ/訳 講談社 本体1200円+税

いよいよ明日は、クリスマスイブ。
今年はいつも以上に、おうちでゆっくりクリスマスを過ごすご家族が多いでしょうか。
前回に引き続き、クリスマス絵本をもう一冊ご紹介。
ミッフィーの作者、ディック・ブルーナによる『しかけえほん クリスマスって なあに』です。

丸い窓の開いた表紙を開くと、静かな暗い夜に、羊飼いたちが羊の番をしています。
すると突然、暗い夜の空が、昼間のように明るくなりました。
光の中に愛らしい天使たちが現れ、こう伝えます。
「いま、ベツレヘムの ちいさな うまごやで、
 ひとりの あかんぼうが うまれました。
 その あかんぼうは、すべての ひとの うえに
 しあわせを はこんでくれるでしょう」

ページに開いた丸い窓のしかけで、めくっても必ず右ページの中央にある、輝く星。
その星に導かれて、羊飼いたちは馬小屋を目指します。
同じ頃、3人の学者たちも星に導かれ、馬小屋を訪れました。
そして、マリアとヨセフに見守られて眠る赤ん坊の枕元に、贈り物を置きます。
この赤ん坊こそ、神様の子、イエスでした。

オリジナル版の『クリスマスって なあに』(講談社)は、本国オランダでは1963年に、邦訳版は1982年に刊行されたロングセラー。
水色の横長の表紙に、天使が手を合わせて微笑む姿を覚えている方も、多いのではないでしょうか。
お子さんにもわかるよう丁寧に語られたイエス・キリストの生誕物語ですが、こちらのしかけえほんではさらに小さいお子さんでも親しめるよう、よりシンプルな文章に。
厚い合紙に丸窓、角も丸くなっているので、小さなおててでも楽しくめくれます。
誰もが親しみやすいブルーナの絵で、クリスマスの本来の意味を知るのにぴったりの一冊。
窓の中で重ね絵になった表紙は小さなアートのようで、ツリーと一緒にクリスマスのお部屋に飾るのもおすすめです。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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