『ぐずりっこフンガくん』【今日の絵本だより 第158回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ぐずりっこフンガくん』
国松エリカ/作 小学館 本体1300円+税
前回ではお彼岸にちなんで『おはぎ3しまい』をご紹介しました。
おはぎの絵本と言えば他にも『おはぎちゃん』、おはぎでなくぼたもちではありますが『よるのわがしやさん』もすでにご紹介しているのですが、前回の原稿の最後に「青のりのおはぎにはいまだに出会ったことがない」と書いて、いや、実物には出会っていないけれど、青のりのおはぎが出てくる絵本は他にも知っている……と、思い出してしまったのです。
『ぐずりっこフンガくん』の中の1話、「おはかまいりのまき」です。
こぶたのフンガくん、今日はみんなでお彼岸のお墓参り。
山道を登ってきたので、
「くたびれたよぉ~。」
「はやく かえりたいよぉ~。」
と、早くもご機嫌ななめ。
みんなはお墓掃除に忙しくて、そんなフンガくんには構ってくれません。
「いつまでも そんなふうにしてると、
ごせんぞさまに わらわれちゃうぞ。」
いとこのお兄ちゃんに言われても、
「いいもん!
ぼく いちども ごせんぞさまに あったこと ないし、
もう いないのに、ぼくの こと、
みえるわけ ないもん!」
と、ふてくされてしゃがんでいます。
さて、お掃除が一段落して、おばあちゃんがお墓におそなえしたのは、お重に入ったあんこのおはぎと青のりのおはぎ。
「やったぁ!」
と、コロッと笑顔になったフンガくん。
フンガくんの大好物、この青のりのおはぎが好きな人が、他にもいたんですって……。
『ぐずりっこフンガくん』は6ページの短いお話が5話入っているので、おやすみ前に「今日はひとつだけね」「明日はお休みだからふたつ読もうね」と、読む量を調整しやすいのがありがたいのです。
(と言っても、すぐにぐずったりゴロゴロしたり、ホントに子どもらしいフンガくんがおかしくてかわいくて、たいてい全話読んじゃうんですけどね。)
「フンガくん」シリーズは、既刊8冊。
大好きなのでご紹介したいと思い続けながら、1冊の中にいろんな季節や行事のお話が入っている贅沢さゆえになかなかきっかけを得られなかったのですが、青のりのおはぎがつないでくれたご縁に感謝です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。