『ねこのずかん』【今日の絵本だより 第109回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ねこのずかん』
大森裕子/作 今泉忠明/監修 白泉社 本体1000円+税
2月22日は、ニャン・ニャン・ニャンで、ねこの日。
せっかくのねこの日なので、kodomoe発のずかんシリーズ『ねこのずかん』で、ねこまみれになってみませんか。
「ねこと なかよく なりたいかい?」
と、ねずみの博士がこねずみたちに問いかけます。
「それなら、ねこに あいに いこう!」
そうしてページをめくれば、ねこ、ねこ、ねこのオンパレード。
しっぽや肉球などの体の秘密。
鼻、舌、目の色といった顔の秘密。
外国や日本の、いろんなねこの種類。
見事にリアルなのに温かみがあるのは、やはり写真でなく絵のなせるわざでしょうか。
ところで、お話の絵本は好きだけど、図鑑はちょっとピンとこない、というママも多いと思います。
でもこのずかんシリーズなら、お出かけ先やすきま時間に、ちょっとだけ読むにもとても便利。
「気軽に読める」って、絵本と長いおつきあいをするにも、大事な要素だと思います。
お話役を務めるねずみたちがあちこちでいろんなことをしていたり、「ねこご」や「ねこと ともだちに なるには?」解説など、ワクワク要素もいっぱい。
そうしてよく見ていると、絵のひとつずつにもいきいきと小さな物語があるようで、作者の深いねこ愛を感じます。
『ねこのずかん』は、昨年末発表の第12回MOE絵本屋さん大賞で第9位に入賞。
作者の大森裕子さんは受賞コメントで、子どもの頃から、そして大人になった今でも「ねこと話がしたい」と思っていて、この一冊を作ったと語っています。
その言葉で納得。
ねこへの深い洞察は、数十年に渡るねこ愛の賜物なのですね。
小さな子は絵を指差しながら読み聞かせで、字が読めるようになったら自分で文字を追い説明を読んで、そして大人のねこファンには愛蔵用に。
見た目は愛らしくてもしっかり「ずかん」として、家族で長く使える一冊です。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。