2020年2月18日

『ちいさな はくさい』【今日の絵本だより 第108回】

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kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『ちいさな はくさい』【今日の絵本だより 第108回】の画像1『ちいさな はくさい』
くどうなおこ/作 ほてはまたかし/絵 小峰書店 本体1400円+税

今が旬の冬野菜の代表、はくさい。
お鍋やお漬物で、この時季は特によく食卓にのぼりますね。
今回は、そのはくさいが主人公のお話をご紹介します。
『ちいさな はくさい』です。

丘の上の畑のそばに立つ、柿の木。
その柿の木の下にひとつだけ、畑からはみ出して芽を出した、はくさいがありました。
「ぼくは いったい だれでしょう?」
生まれたばかりで首をかしげるはくさいのひとりごとに、柿の木は
「はくさいだよ はくさいのこどもだよ」
と教えてあげます。

そうして柿の木にいろいろ教わりながら、少しずつ大きくなっていくはくさい。
みんなのように八百屋に向かうトラックに乗りたくて、もっと大きくなるために体操もします。
「いっち・に・さん・し おおきく なろう
 ご・ろく・なな・はち やおやに いこう」
でもやっぱりみんなよりちいさなはくさいは、最後には畑にひとりきり。
「おまえは ここで はるを まってな」
とトラックのお兄さんに優しく言われましたが、「はる」って一体何でしょう……。
それもやっぱり柿の木が、丁寧に教えてくれました。

長い冬の日々を越えて、まぶしく輝く「はる」を迎えたはくさい。
それはひとりはみだしたものではなくて、かけがえのない唯一の姿。
土から動かないちっぽけなはくさいが主人公の、でもこんなに胸を打つドラマ。
なんだか自分がちっぽけな気がしてしまうときに開くと、じんわり勇気づけられるようなお話です。
まっすぐで明るい、読んでいて気持ちのよい文章の作者は、野原の住人たちの詩集『のはらうた』(童話屋)でも有名な、くどうなおこさん。
画家のほてはまたかしさんは、その絵入り版の『版画のはらうた』(童話屋)でも作画を手がけているコンビです。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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