2019年4月11日

『パンのずかん』【今日の絵本だより 第44回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『パンのずかん』
大森裕子/作 井上好文/監修 白泉社 本体880円+税

4月12日は、パンの記念日。
1842(天保13)年旧暦4月12日に、伊豆韮山代官の江川太郎左衛門英龍が軍用の携帯食糧として作ったパンが、日本で初めて焼かれたパンと言われています。
パンの記念日におすすめの一冊といえばこちら、kodomoeから生まれた絵本、『パンのずかん』です。

「いらっしゃいませ!
 くまベーカリーへ ようこそ」。
くまの店員さんが出迎える扉ページを開けば、そこから先は、焼き立てパンがたくさん並びます。
まるいパンは、あんぱん、メロンパン、カンパーニュ、ポンデケージョなど。
しかくいパンは、かくしょくパン、ライむぎパン、パン・オ・レにフレンチトーストなどなど。
バターロールやコロネのまきまきパン、クロワッサンやデニッシュのさくさくパン、他にもいろいろ。
ページから香ばしい香りが漂うような、おいしそうなパンが、全部で104種。
めくってもめくってもパンばかり、「パンって、こんなにたくさん種類があったんだ!」と驚きます。
本物みたいなのにあたたかみのある絵は、見れば見るほど食べたくなる、まさに「味わいのある」絵。
親子で一緒に見ながら、「どれがいい?」「これにする!」のやりとりが、何度も楽しめます。

ところで、子どもは図鑑が好きだけれど、ママ自身は図鑑を読むのはちょっと苦手、という人も多いのではないでしょうか。
『パンのずかん』は、そんな親子にもぴったりです。
最初から最後まで通して読まなくても、好きなページを開いて自由に読んでいいのが、図鑑のありがたいところ。
「バゲットとパリジャンとバタールって、こういう違いなんだ」とか、「このパンは、この国の生まれなんだ」とか、大人にもためになる知識がいっぱい。
リアルなパンの絵だけでなく、案内役のくまの店員さんたちはかわいくて、ラストにはみんなが働くお店の様子もあり、図鑑+絵本の空気感がここちよく、読みやすいのです。

余談ですが、4月12日は「パンの記念日」で、毎月12日は「パンの日」なのだそう。
毎月12日は『パンのずかん』の日と決めるのも、読み聞かせのお楽しみになっていいかもしれないですね。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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