『おしっこちょっぴりもれたろう』【今日の絵本だより 第25回】
ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめして
いきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『おしっこちょっぴりもれたろう』
ヨシタケシンスケ/作・絵 PHP研究所 本体1000円+税
あけましておめでとうございます。
本年もkodomoeならびにkodomoe webを、どうぞよろしくお願い致します。
毎年恒例、年末発売のMOE2月号で発表されるMOE絵本屋さん大賞。
全国の絵本屋さん3000人の投票で決定した、2018年の絵本ランキングです。
第11回となる今回の栄えある第1位は、ヨシタケシンスケさんの『おしっこちょっぴりもれたろう』。
パンツ姿でうつむく男の子の表紙を、書店で見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
おしっこをする前かした後に、いつもパンツにちょっぴりもれちゃう、もれたろう。
そのたびにお母さんに怒られるけど、もれたろうは思います。
でも、いいじゃないか。ちょっぴりなんだから。
ズボンをはいたら、わかんないんだから。
今日もちょっぴりもれてしまったもれたろうは、お母さんに怒られないよう、パンツがかわくまで近所に冒険に出かけます。
ぼくみたいな「実はもれたろう」な仲間も、探せば案外いるんじゃないかな?
そう思ったもれたろうは、悩みがあるような子に次々と声をかけます。
でも、なかなか同じ悩みの子には出会えません。
旧友の「おしっこけっこうもれたろう」くんを懐かしんでは、ひとりせつない気持ちで海を見つめます。
もれたろうと同じ年頃の子の保護者にはよ~くわかるパンツあるあるから、誰もが心の中に、その人にしかわからない悩みを抱えている、という深い話題へ。
さすが、前人未到の絵本屋さん大賞5冠に輝いたヨシタケシンスケさん。
笑いと哲学のコンビネーションが、絶妙です。
リアルもれたろうな親子には、まさに必読の書!
心がすっきり(もしくはちょっぴり?)、軽くなりますよ。
ちなみに今回の絵本屋さん大賞は、第2位も『みえるとか みえないとか』(アリス館)でヨシタケさんがW受賞。
子どもも大人もとりこにするヨシタケ作品の秘密、ぜひMOE2月号の受賞者インタビューで、じっくりご覧ください。
次回は絵本屋さん大賞部門賞、kodomoe読者の投票で決定したパパママ賞第1位の、あの絵本をご紹介します。
ちなみに『もれたろう』は、パパママ賞でも第2位にランクイン!
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。
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