2018年12月3日

『こよみともだち』【今日の絵本だより 第19回】

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

『こよみともだち』
わたりむつこ/作 ましませつこ/絵 福音館書店 本体1000円+税

 12月3日は、カレンダーの日。
皆さん、来年のカレンダーはもうお決まりですか。
『こよみともだち』の主人公は、1がつさんや2がつさんや3がつさん、12の月。
順番に、隣の月のともだちを訪ねていくお話です。

1がつさんは、羽子板形のお顔に紋付袴姿。
「ひとりぼっちじゃ つまらない
ともだち さがしに でかけよう」
と家を出て、
「とんとんとん あそぼじゃないか 2がつさん」
と、隣のおうちの戸をたたきます。
出てきた2がつさんは、雪だるま姿。
一緒に雪合戦で遊んで、
「もっと ともだち さがしにいこう」
と、ふたりで隣のおうちの3がつさんを訪ねます。

ともだちはみんなそれぞれ、その月にあった姿形。
こいのぼり姿の5がつさんは、みんなを背に乗せ、空を飛んで宙返り。
まぶしいおひさまの7がつさんは、海の向こうからみんなを手招き。
遊び方にも風景にも、日本の季節の豊かさを改めて感じられます。

小さな子にとっては、一年ってとても長い時間ですよね。
まだおうちだけの生活だと、「何月」という概念をつかむのも、なかなか難しい。
でも『こよみともだち』の、歌うような言葉と季節感あふれる絵にふれると、
月ごとのイメージをつかみやすいかもしれません。
そう、小さな子の心の中に、毎月のおともだちが住むように。
カレンダーがわりにこの絵本をお部屋に置いて、その月の絵を開いて飾るのも楽しそう。

12がつさんまでを訪ねて、仲よく遊んだ12人は、
「みんなで いっしょに すみたいね」
と、新しい「こよみのいえ」に引っ越します。
最後のページにあるこの「こよみのいえ」は、12のドアを開いて、
みんなの部屋がのぞけるしかけになっています。
「とんとんとん」と声をかけて、ともだちの部屋を訪ねてくださいね。

 

選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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