『パンダ銭湯』【今日の絵本だより 第8回】
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『パンダ銭湯』
tupera tupera/作 絵本館 本体1300円+税
10月10日は、銭湯の日。
銭湯の絵本といえば、もうすっかりおなじみになりましたよね。
『パンダ銭湯』。
「よし きょうは せんとうに いくか」
「あら それじゃ よういするわね」
「やったあ!」
と、今日はパンダ親子3人で銭湯へ。
ついたところは、パンダのためのお風呂やさん、「パンダ湯」。
番台には「パンダ以外の入店は、固くお断りしています。」の貼り紙があります。
男湯では
「ぬいだら ちゃんと かごに いれろよ」
「うん」
という、親子のほほえましいやりとりが。
え、ちょっと待って。
ぬいだらって、何を?
ああ、まだ読んでいない方のために、これ以上は言えません!
この絵本でパンダの秘密を知ってしまったら、もう今まで通りにパンダは見られない?
たとえ秘密を知ってしまっても、もう一度読みたくなる、衝撃と笑いのループ絵本です。
湯上がりの飲み物は、サササイダー。
「チャッ!」とかけるサングラスは、レイバンならぬレイパン。
細かいところまで、クスッと笑えるお楽しみがいっぱい。
ラストシーン、家路につく3人の後ろ姿にも注目です。
お父さん、耳の後ろが……。
昨年から今年にかけて全国巡回した、「ぼくとわたしとみんなの tupera tupera 絵本の世界展」でも、パンダたちと一緒に湯船で写真が撮れる「パンダ湯」コーナーが、連日大行列でした。
パンダの秘密を知ってしまったみんなが、普段は「パンダ以外入店お断り」の「パンダ湯」に、並んでいそいそと入っている。
『パンダ銭湯』、こんなに愛されているんだなあと、ほのぼの、うれしくなりました。
まだパンダの秘密を知らないあなた。
あの愉快な衝撃がこれから味わえるなんて、うらやましい!
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。