2023年7月12日

『ようこそ こどものけんりのほん』単行本化! 大切なのは、親がまず幸せでいること【最新号からちょっと見せ】

kodomoe2月号の付録絵本「ちいさな こどものけんりのほん」は、発表から予想を超える大反響が!
急きょ、タイトルをあらため、『ようこそ こどものけんりのほん』として、6月30日に発売されました。8月号では、
文章を手がけた「子どもの権利・きもちプロジェクト」の代表で子どもの福祉の研究者・長瀬正子さんにお話を聞きました! 貴重なインタビューをkodomoe webでもご紹介します。

『ようこそ こどものけんりのほん』単行本化! 大切なのは、親がまず幸せでいること【最新号からちょっと見せ】の画像1

『ようこそ こどものけんりのほん』
えがしらみちこ/絵
子どもの権利・きもちプロジェクト/文
白泉社 1430円
はじめて「子どもの権利」に触れるとき、親子で読める絵本です。えがしらみちこさんの水彩画が美しく、カバー裏面は、知っておきたい「子どもの権利条約」のポスターになっています。

まず最初は
大人に知ってほしいんです

――録発表後、読者アンケートやSNSで大反響でした。

ちょうど今年の4月に待ち望まれていた「こども基本法」が施行されたことも大きかったかもしれません。こんな本がほしかったと好意的な声もたくさんいただいた反面、できていない自分のことを考えるとつらいという率直な感想も届きました。限られたスペースで、保護者へのメッセージが表現しきれないのがもどかしかったです。いつか音声媒体などで、こういった保護者の疑問や子どもとの対話の悩みに応答する場を作りたい、とメンバーと話しています。

――単行本化にあたって、テキストが加筆されました。

子どもと冷静に話し合えないという声もあったので、落ち着いて対話する工夫を紹介するページなどを足しました。直接向き合うとケンカしてしまうけれど、子どもの個性によって、車や自転車に乗りながらとか、何か作りながら話すと穏やかに話せることも。絵本を読みながら、あなたはどんな方法がいい? と会話してほしいです。

まず大人に知ってもらわないと守られないのが「子どもの権利」の大前提ですので、巻末では保護者向けに「子どもの権利」の歴史や知識も紹介しています。

――子どもの声を聴く余裕がないという切実なママの声も。

誤解されることも多いのですが、「子どもの権利条約」は、親の努力目標だけを示すものじゃないんです。国が環境を整えるべきで、そのことを保障する努力をするようにと定める内容です。日本は、国連から「人材や財源の確保が足りない」と、いくつもの勧告を受けているんです。だから、自分ができていないことに着目しすぎないでほしいなと思います。私だって全然できてない。子どもの「生きる権利」と「育つ権利」を守って、元気でいるならば、まずはOKだと思うんです。

――親はもっと人に頼っていい。

他人に頼る自分を責めないでほしいですね。保護者じゃなくても子どもの力になれるし、そのほうが適切なこともあります。

血縁者が近くにいない状態で子育てに奮闘している友人がいて、どうしてもピンチのときに頼ったら逆に叱られてしまい、以来絶対に他人を頼らなくなったと話していました。周りの人に「他人様に迷惑をかけないで、仕事を減らすように」と言われた、などと聞くと苦しくなりますね。迷惑かけたっていいと思う。もっとみんなで育てる社会になったらいいと思うんですね。「私が大変なのは、自分のせいだけではなく、日本の社会に変えていくべき課題があるからなんだ」と知ることは、気持ちの上でも大切です。

――まず、親が幸せでいることも、大切な観点ですね。

子どもは大人の様子を見ています。そして守ろうとしている。親がいっぱいいっぱいだと、子どもは親を心配させないよう我慢します。もし子どもが親にわーわー文句を言えているのなら、健全な状態なのかもしれません。ただ、それで親が苦しいのなら、子どもにエネルギーをかけすぎて自分がなくなっているのかも。まずは、よくやっていると自分を労ってほしいです。
また、子どもと話し合うことで解決のヒントをもらえることもあるんです。親子では互いの境界線がなくなりがちですが、それぞれが独立したひとりの人間。いつも「どうしたい?」「私はこう思うよ」と伝え合うことが、自分のことを自分で決められる人になるための、練習の時間にもなるのだと思います。

イベント情報(すべて無料)

えがしらみちこさんの
絵本づくりワークショップと
えがしらさん・長瀬さんトークイベント

会場 佛教大学紫野キャンパス(京都)
日付 7月22日(土)
●ワークショップ「じぶんのえほんをつくろう!」
1回目 13:15 ~、 2回目 14:30 ~(各回30分)

●えがしらみちこ・長瀬正子トーク
「子どもの権利は子育てのヒント」
16:30 ~ 18:00(対面50名・オンライン400名)
www.bukkyou-ac.jp/olc

えがしらみちこさん主宰の
児童書専門店「えほんやさん」で
絵本原画展開催

会場 えほんやさん
会期 8月1日(火)~ 30日(水)
静岡県三島市中央町4-10
tel 055-900-1052
時間 10:00 ~ 17:30
休み 木、8月15日(火)~ 17日(木)
tenkiame.com/ehonyasan

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もっと知りたい! 方に……

「子どもの権利・きもちプロジェクト」は、各媒体で情報発信しています。子どもと大人に「子どもの権利」の視点を広めることを志し、ワークショップ、絵本、アート、シェアリング、対話など様々な形で、メンバーの個性とスキルを活かした活動を行っています(linktr.ee/kodomonokenri.ehon)。

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長瀬正子
ながせまさこ/ 1977年生まれ、京都府在住。佛教大学社会福祉学部准教授。社会的養護で育つ子どもや若者の権利を研究。著書に『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』(momo /絵 ひだまり舎)など。11歳の子どもの親。

ブログサイト 子どもと家族の小さな図書館「ちいさなとびら」 chisanatobira.exblog.jp

編集協力/山縣彩(kodomoe2023年8月号掲載)

kodomoe8月号の巻頭特集は、「今行きたい! 絵本ミュージアム&パーク35『絵本さんぽ』」。

豪華3大付録! 絵本「ノラネコぐんだん ぺこぺこキャンプ」「キウイのおうちのキーちゃん」とじ込み付録「だるまさん」折り紙は、kodomoe8月号でお楽しみください!

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