児童書の「目利き」が厳選 書店員さんおすすめ新刊絵本 2016年6月号
絵本作家インタビュー【1】
『くろくんたちと おえかきえんそく』
なかやみわさん
「くれよんのくろくん」シリーズ最新刊。
お絵かきをして、世界にひとつ、私だけの絵本を作ろう!
『くろくんたちと おえかきえんそく』なかやみわ/作 童心社 本体1150円+税
くろくんたちと一緒に遠足を楽しみながら、模様を描いたり、線をひいたり……。自分だけの絵本が完成する読者参加型のお絵かき絵本。 ご家族一緒に、物語と絵を描く楽しさをたっぷり味わえます。
世界で一冊の絵本が作れる!
――絵本にらくがきをしてしまう子って多いと思います。でも、この作品はどんどん描いて、絵本を完成させよう!という新しい発想の絵本ですね。
今回のような絵本を作るのは、私自身はじめての試みです。編集者さんから「くろくんで、おえかき絵本を作りませんか?」とオファーをいただいたときは、とても悩みましたが、どんな作品なら、読者の方も楽しくお絵かきができるか、市販のぬり絵やワークブックなどを集めて研究しました。
――くろくんたちが今までの部屋を飛び出して、遊園地へ遠足に行くというストーリーと、絵を描く楽しさの両方を楽しめるのが魅力のひとつですね。
おはなしの中で、観覧車やコーヒーカップなどいろいろなアトラクションを登場させることができる場所は遊園地しかないと、おはなしの舞台を決めました。
――すでに描いてあるところと、読者が描くところのバランスを考えるのは、難しかったのではないですか?
ゼロから「くろくん」の世界を塗るよりも、「くろくん」の世界の中に自分の絵が入っている方が読者の方に楽しんでいただけるのではないかと思い、バランスを調整しました。私は常々、絵本はコミュニケーションツールだと思っています。ただ白いところを埋めていくのではなく、完成までの親子のやりとりも含めて、世界にひとつだけの絵本ができることに、この絵本の価値を感じていただければ嬉しいです。
Nakaya Miwa
埼玉県生まれ。女子美術短期大学造形科グラフィックデザイン教室卒業。デザイナーを経て、絵本作家に。最新刊に6月3日発売予定『やさいのがっこう とまとちゃんのたびだち』(白泉社)がある。
編集協力/木村春子