2021年8月20日

子どもと観たい最新映画はスタジオジブリ「アーヤと魔女」

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「子どもの家」で育った10歳の少女アーヤが、魔女と怪しげな男の2人組に引き取られ、新たな生活をはじめる物語。昨年12月にNHKで放送され、反響を呼んだ「アーヤと魔女」が、いよいよ27日(金)から劇場公開されます。これに先立ち、監督を務めた宮崎吾朗さんにお話を伺いました。

 子どものためのスタジオジブリ初のフル3DCG

――「アーヤと魔女」はスタジオジブリ初のフル3DCG作品ですね。なぜ今回、手描きアニメではなく、CGで映画をつくることにしたのですか?
2014年にEテレでアニメーション「山賊の娘ローニャ」(宮崎吾朗監督初のCG作品)をやったことが大きかったですね。「ローニャ」を全26話やってみて、「CGってこんなにお芝居が上手にできるんだ」ということを思い知ったんです。たとえば「登場人物たちが洞窟の中でしゃべってるだけで1話もつのか」とか、作品の中で実験しているんですけど、やってみたらちゃんとできました。

――顔を寄せ合い話す主人公ローニャたちの子どもなりのまっすぐさがとてもよく伝わる回でした。
実は手描きのアニメーションでも難しいとされるような細やかなお芝居を、CGでもできるんじゃないかと。もちろん派手なアクションがCGは得意なんだけど、それ以上に、日常の芝居……たとえば、スープをお椀によそうとか、そういうごく当たり前のシーンを見せるのも実は、CGは向いているとわかったんです。それで、次にジブリで映画を作るならCGでいきたいと思いました。

 あたしは悪くない! 自己責任じゃない!

――NHKの放送を観た子どもたちからは、アーヤに共感してくれたのか、もっと観たい!という反応が多かったです。
子どもたちにとっておもしろいのは、アーヤがつねに考えながら行動し続ける子だから、ということなんじゃないかな。アーヤが何を考えているかを、セリフじゃなくて、顔の表情や態度で伝えることが大事だと思って作りました。言葉から入らない、見たままで判断するというのは、アーヤ自身も同じです。だから何でも言葉で説明しないように、原作以上にセリフも増やさないようにしました。

――子どもたちが好きになるアーヤは、ちっともいい子じゃありませんね。
アーヤって、いわゆる清く正しく美しく……みたいなヒロインとは正反対。すぐあぐらをかくし、ガハハと笑うし、解放された女の子ですよね。そして自分が望むものがあったら、どうやったらそれが手に入るかを考える子。自分の願いを叶えるために、必要なことをするのがアーヤです。

――髪形も個性的でかわいいです。
原作には「ハサミムシ」と書かれていて、ツノが2本あるのが特徴なんです。アーヤのしたたかな性格を出すために、最終的には攻撃的なクワガタみたいになりました。

アーヤのお母さんも、自分本位の人です。決して褒められたもんじゃないけど、そのおかげでアーヤがああいう子になったとも言える。アーヤが「子どもの家」で育ったからといって、かわいそうな子だと決めつけることはできない。そうじゃない生き方をしている子だっている。先入観で見てはいけないということも、原作者、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの作品のテーマの1つなんじゃないかと思います。本当に、もっと読まれていい作家さんだと思いますね。

――「ハウルの動く城」の原作もそうですが、今、ダイアナ作品が読まれるべき理由は?
ダイアナ作品には、周りから自分がどう思われているかとか、他人の目を気にしているような人はあまり出てきません。自分に対してダメだという評価を下したりせず、「あたしが思い通りにならないのは、周りが悪いせいだ」という、アーヤみたいな登場人物が結構出てくるんです。
でもそこが、今、みんなが元気になるために必要なことなんじゃないかな。「あなたが今つらい状況にいるのはあなたの責任じゃない、自己責任じゃないよね」というメッセージでしょう。「あたしは悪い周りのほうを突破して、どうにかしていくんだ」というのが、アーヤをはじめとする、ダイアナさんのキャラクターなんです。

 細部までこだわり抜いた面白さは映画館で

――この作品を大画面で観てほしいシーンを教えてください。
ベラ・ヤーガの魔法の部屋なんか、もうひたすら作りこんであります。関わったスタッフは1年間、この部屋から出られませんでした。映画館で見ると、「うわ、こんなところまで!?」と気持ち悪くなるくらい細かい作りこみになっているんで、そういうところをぜひ。

――魔女の家、外観も内装もとてもよかったです。建築の専門家でもある、吾朗監督ならではの魅力ですね
まず魔法の部屋は、ベラ・ヤーガが一代で作りあげたものではなくて、先代の魔女たちから受け継いだものというイメージがありました。一方で、キッチンやバスルームはそこまで古くなくて、中世さながらという感じではないだろうと。普通のちょっと前のイギリスの家庭にある感じ。そのギャップがおもしろいかなと思いました。「キッチン小さくない?」ってツッコミが入るくらいの親近感がわくような。

――そうですね! あの家では、料理してないですもんね。
そうそう、魔法でウーバーしてるみたいですよね(笑)。

 駿さんが「アーヤ」をよかったとほめてくれた理由

――お父様の宮駿監督はご覧になりましたか?
「よかった、おもしろかった」と素直に言ってましたね。「アーヤが魅力的だった」とも言っていました。しっかりお芝居ができていて、アニメーションとしてよかったということなんだと理解しています。CGだろうがなんだろうが、映画としてよかったということなんだと。そこは本当に嬉しかったですね。

――親子で「アーヤと魔女」を観に行ってほしいですが、怖いシーンはあるでしょうか?
保育園・幼稚園の年中さんくらいから楽しめると思います。TVで放送したときも、小さいお子さんたちからの嬉しい反応をたくさんいただきました。映画館って真っ暗だし音も大きいし、子どもにとってはただでさえドキドキしてしまう場所かもしれません。でも、そんなドキドキも含め、小さいお子さんから大人まで、映画館で一緒に楽しくご覧いただけたらと思っています!

映画館の大きなスクリーンで、スタジオジブリ初となる3DCG映画「アーヤと魔女」を観られるのはいよいよ8月27日からです。「子どもの家」や魔女の家を、アーヤと一緒に、いきいきと駆け回り、ドキドキできる体験が待っています。大団円のエンドロールまで目が離せないので、最後まで席でご覧くださいね。

8月27日(金)に映画「アーヤと魔女」全国東宝系にて公開予定
https://www.aya-and-the-witch.jp/
C)2020 NHK, NEP, STUDIO GHIBLI

「 アーヤと魔女」INFOMATION

 三鷹の森ジブリ美術館企画展示「アーヤと魔女展」
宮崎吾朗監督がどのようにして子どもにも人気の3DCGアニメーションを作りあげていったかを、わかりやすい映像展示をまじえて監督自らが説明。表情豊かなアーヤの誕生の秘密がわかります。

© Museo d’Arte Ghibli
期間/開催中・2022年5月(予定)
会場/東京都三鷹市下連雀1-1-83
時間/10:00~17:30
※日時指定予約制
休み/火曜(そのほかに長期休館あり)
入場券/日時指定予約制(事前購入が必要) 大人・大学生1000円、高校・中学生700円、小学生400円、幼児(4歳以上)100円 
オンライン・店頭予約/ローソンチケット https://l-tike.com/ghibli/
問い合わせ/0570-055777(10:00~17:30 休館日は休み)
※感染状況の拡大により、開館日は変更になる可能性があります。来館前は公式HPで確認を。
https://www.ghibli-museum.jp/

 「ジブリの大博覧会~ジブリパーク、開園まであと1年。~」展
2015年、愛・地球博記念公園ではじまった「ジブリの大博覧会」。魅力的な展示を加えバージョンアップしながら全国各地を巡回し、今、愛知にすべての展示物が勢ぞろい。愛知では来年秋に「ジブリパーク」が開園予定。この大博覧会は、パークに収蔵される前の作品たちの最後のお披露目に。ジブリパークの紹介展示のほか、スタジオジブリ約35年の歩みを懐かしの映画ポスターやグッズ、未公開とされた原画など豊富な資料で振り返ります。
展覧会場の入口では、大きなトトロがお出迎え。(C) Studio Ghibli
ジブリパークに2023年に誕生する「魔女の谷のエリア」。「ハウルの城」も登場。(C) Studio Ghibli

期間/開催中~2021年9月23日(木・祝)
会場/愛知県美術館[愛知芸術文化センター10階] 名古屋市東区東桜1-13-2
時間/10:00~18:00 ※金曜は20:00(入館は閉館30分前まで)
休/9月6日(月)、21日(火)
入場券/日時指定予約制(事前購入が必要)一般1900円、高大生1500円、小中生1000円、未就学児無料
オンライン予約/Boo-Wooチケット カスタマーセンター 0570-084-700(11:00~17:00)https://l-tike.com/bw-ticket/event/ghibliexpo-aichi/
店頭/ローソン、ミニストップ (Lコード:48222)
特設サイト/https://www.ghibliexpo-aichi.com/
撮影/滝沢育絵

 

宮崎吾朗

みやざきごろう/1967年東京都生まれ。映画監督。建設コンサルタント会社勤務の後、2001年にオープンした三鷹の森ジブリ美術館設立に参加。2006年、「ゲド戦記」ではじめて長編アニメーション映画の監督と脚本を務める。監督作品に「コクリコ坂から」(2011)、テレビシリーズ「山賊の娘ローニャ」(2014)がある。

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