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赤ちゃん時期から口の動きを意識した「口唇マッサージ」。「噛む力」をお口の体操で鍛えよう!
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北欧と並んで虫歯の少ない国になった日本。ところが、きちんと噛めない子どもが増えているという臨床データも。身体能力や学力アップにもつながる「噛む力」。今回は、歯が生える前から育てることができる「噛む力」の、口周りを正しく機能させるのに効果的な、乳幼児からできる簡単なトレーニング法を紹介します。
口唇・前歯・舌のはたらき
食べ物を最初にとらえるのは口唇。次に前歯で口に入る分だけを噛み切り、舌で奥歯に運びます。この3つが、噛むための第一歩に。
歯の根っこと骨の間にある歯根膜の神経は、脳の神経にもつながっています。特に前歯で噛むことで、脳の前頭前野を活性化します。
口唇
上口唇を使って
食べ物をキャッチ
特に上口唇のはたらきが重要です。上口唇で食べ物をとらえるという感覚を、乳児期から養いましょう。口唇の動きがスムーズだと、「お口ポカン」にもなりません。
前歯
前歯で噛んで
ひと口の量を覚える
前歯は脳に直結するセンサー。前歯で噛み切ることで、ひと口の量の感覚を覚えます。さらに、前歯で噛むと、記憶や認知に関わる脳の前頭前野が活性化します。
舌
舌を使って
正しく飲み込む
食べ物を奥歯に運び、飲み込むときにはのどに送り出すのも、舌のはたらき。舌を動かす筋肉をしっかり発達させることで、誤嚥などを防ぐこともできるのです。
お口の体操で鍛える
特別な器具も手間もかからず、好きなときに気軽にできる体操を紹介します。親子で一緒に、楽しく取り組んでみましょう。
上口唇を刺激して、
動きをスムーズに
上口唇がしっかり動くと、食べ物を正しくとらえることができ、口を閉じて食べられます。
赤ちゃんのうちから
口の動きを意識して
「口唇マッサージ」
赤ちゃんの上口唇に指で軽く触れ、やさしく刺激します。口が開いていないか、ふだんから注意して見てあげることも大切です。大きくなれば、自分でマッサージできるように。
遊び感覚で
口唇をストレッチ
「口唇伸び伸び体操」
2~3歳になれば、上口唇を下に向かって自分で伸ばす体操もできるように。大人も一緒にやって見せて。口唇をとがらせて百面相ごっこをするなど、遊びながら行っても◎
口周りの筋トレで、
お口ポカンを防止
口周りやほほの筋肉、あごを強化して、引き締まった口元を作ります。
ほほをいっぱいに
ふくらませて
「ほっぺプックリ体操」
口唇を閉じ、ほほに空気をいっぱい含ませて、そのまましばらくキープ。ほほの筋肉が鍛えられます。お風呂で、水をたっぷり含ませてから、プーっと吹き出す遊びもおすすめ。
ボタンをはさんで
口唇を鍛えます
「ボタンプル」
直径2cm程度のボタンに、タコ糸など太めのひもを通します。前歯と唇の間にボタンをタテ向きに挟み、大人がひもを引っぱります。ボタンが出ないよう、子どもは口を閉じたままキープ。ゲーム感覚で楽しく、必ず大人と一緒に行いましょう。
“ながら”体操で、舌の動きもアップ
「あ・い・う・べ体操」
口呼吸を治すために、今井一彰先生(福岡市・みらいクリニック)が考案したのが、口を大きく動かす「あ・い・う・べ体操」です。噛むために必要な筋肉を鍛えるのにも効果的。テレビを見ながらでいいので、1日30セット、毎日続けてみて。
「あー」と声を出しながら、大きく口を開ける
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もっと舌を鍛えるには……「いー」と言いながら舌を上あごにぴったりくっつけます。「い」の音が出なくなったらOK。
「いー」と、口を大きく横に広げる
口唇を前に突き出しながら「うー」っと声に出す
「べー」と、舌を思いきり出して、下に伸ばす
教えてくれたのは
増田純一先生
ますだじゅんいち/小児歯科医。マスダ小児矯正歯科医院長。長年、子どもの歯と健康に関する臨床研究や治療を続けている。著書に『子どもの知能と身体を発達させる噛む力』(WAVE出版)など。
イラスト/きどふみか(kodomoe2022年2月号掲載)
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