感染症ドミノに要注意! 免疫を落とさず&整える「免疫リペア」始めよう
近年は季節性が薄れてきたとはいえ、低温・低湿度の冬はより感染症が流行りやすくなる時期。免疫力を整えて病原体に負けない体をつくる「免疫リペア」が、家族の健康を守るキーワード!家でできる免疫リペア術を、小児科医の垣内俊彦先生に伺いました。
インフルやRS、ノロ……免疫リペアで乗り切ろう
「夏から流行りはじめ、今までにないほど全国的に感染が広がっているのはマイコプラズマです。例年だとここからインフルエンザやRSウイルスなどの流行も広がり始めます。これに加えて、ノロウイルスなど胃腸炎系も多く出てくるでしょう」と垣内先生。
「子どもは感染症にかかりながら免疫力をつけて徐々に強い体になっていくので、過度に怖がる必要はありません。ただ、注意したいのは脳炎や脳症。新型コロナは弱毒化してこの恐れは低いですが、インフルエンザやRSウイルスなどは依然として要注意。予防接種があるものは受け、それ以外でも毎日の生活で免疫力を整えつつ、低下しないような生活を心がけたいですね」
「感染症ドミノ」に要注意!
感染症にかかり体調が悪化して免疫力が低下しているところに、また新たな感染症にかかる……次々と倒れかかってくるドミノのように、順々に別の感染症に罹患するのが「感染症ドミノ」。感染症になった1人から、どんどん周囲に感染が広がり、寝込んでしまう(倒れてしまう)様子を指して言うことも。
感染症ドミノになりやすい2つの理由
理由1.秋が短く体の冬支度が間に合わない!
私たちの体には、体を冬仕様にさせる「寒冷順化」の機能が備わっています。ところが近年は夏が異常に暑く&長いため秋がほとんどなく、いきなり冬の気候に。急激な寒暖差は体にとって大きな負担となり、免疫力が低下しやすくなります。
理由2. コロナ禍の感染対策による免疫学習不足
子どもは集団生活の中で、様々な感染症にかかることで免疫力を上げていきます。でもコロナ禍の消毒やマスク着用で感染症にかからず成長してきた今の子どもたちは、免疫を獲得する機会に乏しく(学習不足)、感染症かかりやすい状態に。
おうちでできる「免疫リペア術」
免疫リペア術1. 腸内の善玉菌を増やして腸の調子を整える
「免疫細胞の約70%は腸に集中しており、腸の調子を整えることは免疫力の向上に直結します。それには腸内のいい細菌=善玉菌を増やすことが大事。ヨーグルトやみそなどの発酵食品は善玉菌の数を増やし、オリゴ糖や食物繊維の多い食品は今ある善玉菌を育てます。ある特定の善玉菌を摂取し続けたら、感染症の罹患率が減ったという調査結果もあります」(垣内先生)
Q. どのくらいの頻度で善玉菌を摂るのがベスト?
A.できれば毎日!善玉菌をコツコツ補給
「腸内に入った善玉菌が腸内にとどまるのは2~3日。善玉菌が含まれた食品は、できれば毎日食べるのが理想です。ヨーグルトは、牛乳アレルギーがなければ1歳前から食べてOK」
Q. 自分に合った菌はどうやって見つけるの?
A.食べてみた実感でOK!一定期間続けてみよう
「善玉菌とひとくちに言っても種類は様々。『こういう人にはこの菌がいい』というのはないので、便通がいいとか、カゼをひきにくくなったくらいの実感があれば、それが合う菌ということ。1週間程度続けて様子を見るのがいいでしょう」
免疫リペア術2.歯磨きで口内環境を整えて、病原菌をブロック
「口は、病原体が体内へ侵入するのを防ぐ関所。また、口の中の粘膜自体が免疫機能を果たすので、口内を清潔で適切な状態に整えておくのは免疫力にとって大切なことです。歯磨きで口の中を清潔にしておくこと、食べ物をよくかんで唾液をしっかり出すことなどを意識するといいですね」
免疫リペア術3.朝ごはん&朝日を浴びて自律神経を整えよう
「自律神経のバランスが乱れると免疫力も低下。規則正しい生活を心がけましょう。朝日を浴び、朝食をしっかり摂ることも自律神経を整えるのに有効です」
免疫リペア術4.体を温めて血流をよくすると免疫も整う!
「体温が低下すると免疫力が低くなることが分かっています。寒い時期は体温が下がりやすいので、湯船につかる、温かい食事をとる、運動するなどで体を温めましょう」
教えてくれたのは
垣内俊彦先生
かきうちとしひこ/博士(医学)。佐賀大学医学部付属病院・小児科所属。日本小児科学会専門医・指導医。専門は消化器、肝臓、先天代謝異常。地域に根差した小児医療の提供に尽力。
イラスト/yana