子どもの目耳鼻口 素朴なギモンQ&A 「耳鼻口」編
「目が赤い」「鼻水が垂れてる」とついつい気になる、「これって大丈夫?」な子どもの顔まわりの症状。「病院に行くほどではないかな……」と迷うことも。そんな素朴なギモンを専門の先生に聞きました。(kodomoe2016年6月号掲載)
編集協力/橘内実佳 イラスト/macco
教えてくれたのは
上房啓祐先生
うえぼうけいゆう/うえぼう耳鼻咽喉科院長。帝京大学医学部卒業後、埼玉県立小児医療センター勤務などを経て現職。さまざまな中耳炎や小児特有の疾患の治療を数多くこなす。
浜由起子先生
はまゆきこ/日本橋はま眼科クリニック院長。杏林大学医学部卒業後、国立成育医療センターなどを経て現職。小児眼科が専門で、わかりやすく丁寧な診察が子どもたちにも人気。
中耳炎はとことん治して
鼓膜が破れたら、
どうなりますか?(ゆみみ/2歳男の子ママ)
部位によっては再生しますが、破れたままのことも。
鼓膜が再生するという話を聞いたことがある人もいるでしょう。確かに9割は自然に穴は閉じますし、多少、穴が残っていても簡単な手術で戻ります。ただ鼓膜の部位によってはそうはいきません。最悪の場合、聞こえなくなることもありますので、耳は大事に。
耳掃除はこまめに
した方がいい?(きのこ/5歳女の子ママ)
家で耳掃除はしないで3〜4か月に一度、耳鼻科へ。
耳掃除で鼓膜を破ってしまうと、部位次第では聞こえに大きな問題が。耳掃除によって外耳道に傷ができ、炎症を起こすと、外耳炎や外耳道湿疹になることもあります。耳掃除は家で行わず、3〜4か月に一度程度、耳鼻科できれいにしてもらうといいでしょう。
中耳炎はくり返すって、
本当ですか?(かめ子/6歳女の子ママ)
完治させないと繰り返し、やっかいなタイプに移行も
子どもが中耳炎にかかりやすいのは、耳管(鼻の奥と耳の奥をつなげている管)が短いうえ、大人より水平に近い角度で走っているため、鼻から中耳に菌が侵入しやすいから。中耳炎にはいくつか種類がありますが、もっとも多いのが急性中耳炎です。
急性中耳炎が完治していないと、何度もくり返し、よりやっかいな滲出性中耳炎や慢性中耳炎に移行することもあります。しっかり治しましょう。
こんなときは病院へ
耳だれ
→中耳炎、滲出性中耳炎
耳だれしたり、痛みや高熱が出たり、小さな子どもは頭を振って異常を示す場合も。風邪が原因のことが多く、風邪のあとは特に注意して。
大きな音や声に反応がない
→中耳炎、感音性難聴
集中していて反応しない場合もありますが、中耳炎で聞こえが悪くなることも。めったにありませんが感音性難聴(聞こえの神経が障害を受けている難聴)の場合は、早めの対応が大事なので気になったら検査を。
耳をよく触っている
→外耳道湿疹
中耳炎のこともありますが、最近、増えているのが外耳道湿疹。アトピーっぽくも見えますが、耳の穴周辺がただれる病気です。プールで悪化することもあるので、注意して。
鼻水や鼻づまりの他にも……
よく鼻血が出るので心配です。
何かの病気?(わんこ/8歳&5歳女の子ママ)
まれに病気が隠れていますが、普通は大丈夫です。
鼻血がよく出ると気になりますが、多くが鼻をいじっているか、粘膜が弱いケースで、すぐ止まるなら心配いりません。ただ、血友病や白血病などという重篤な疾患もまれにあるので2~3時間鼻血が止まらなければ小児科を受診して。
なお、鼻血を止めるには脱脂綿を入れて前かがみになり、鼻をしばらく押さえるのが効果的。脱脂綿をオキシドールに浸してからだとより有効で(止血作用があります)、何度も変えず、しばらくそのままに。また、横になると鼻血がのどに流れるのでNGです。熱いお風呂や激しい運動も避けましょう。
いびきや口呼吸、
ほうっておいてもいいですか?(ともさん/4歳女の子ママ)
10秒以上呼吸が止まるようなら、小児科や耳鼻科で検査を。
人は眠るとき鼻で呼吸しますが、鼻の通りが悪いと口呼吸になります。すると舌がのどの奥に落ちこんで気道が狭くなり、いびきが生じやすくなります。原因と考えられるのが、のどちんこの両横にある“口蓋扁桃”と“アデノイド”です。アデノイドとは咽頭扁桃といわれるリンパ組織の一つで、鼻の奥の方にあります。どちらも幼い頃は大きく、次第に小さくなるので普通はそのままでいいのですが、睡眠の邪魔をするなら睡眠時無呼吸症候群になる可能性が。10秒以上呼吸が止まるなら、早めに小児科や耳鼻科で検査を。
鼻水が出ているけれど、
プールに入れてもいいですか?(ともきち/5歳&3歳男の子ママ)
プールの塩素は子どもには強すぎるので入れないほうが。
鼻水が出ているときのプールは、おすすめできません。プールに含まれる塩素が体に強く影響するので、鼻水が出ているときだけでなく、肌が荒れているときや結膜炎など目に炎症があるときも含め、避けたほうがベター。
鼻吸いを上手にしてみよう!
小さな子どもはまだ上手に鼻がかめません。そんなときのための鼻吸い器ですが、大切なのは鼻に入れる角度。1.鼻の穴に沿って下から差し込み、2.顔と垂直に傾けるのがポイント。鼻の構造上、そのあたりに鼻汁がたまっているので、スムーズに吸えます。
こんなときは病院へ
濃い色の鼻水
→副鼻腔炎
風邪の場合もありますが、濃い色の鼻水が長引くなら、副鼻腔炎を疑って。急性が慢性になることもあるので、「おかしい」と感じたら耳鼻科へ。
鼻づまりが続く
→副鼻腔炎、アレルギー
副鼻腔炎でも鼻はつまりますが、アレルギーが原因になっていることも。つらそうにしているなら、一度、耳鼻科で診てもらいましょう。
口腔外科や口臭外来も
風邪薬を飲んでいるのに、
咳が止まりません。(やっぴい/2歳女の子ママ)
風邪の咳ではなく、喘息様気管支炎のことも。
「風邪で咳止め薬を飲ませたのに、咳がよくならない」というときは喘息様気管支炎のこともよくあります。熱がなく、のども痛くないし、だるくもないというパターンは要注意。風邪などのウイルスや細菌、アレルギーが原因ですが、もはや通常の風邪薬ではよくなりません。咳が止まらないなら、小児科や耳鼻科へ。
虫歯もないのに口臭が……。
どうして?(みゅ〜/3歳男の子のママ)
あまり神経質にならずに、ちょっと様子を見て。
「口臭が気になって……」と病院を訪ねるママも多いのですが、深刻な病気が隠れていることはめったにありません。歯磨きを行わない習慣や、アデノイドによる口呼吸で起こる口腔内の乾燥が大半です。気になるなら、口臭外来へ。また、あまりに臭い場合はまれに鼻の穴につまった異物が腐り、悪臭を放つことも。
こんなときは病院へ
小さな水泡、腫れもの
→口内炎
疲れやストレスによる抵抗力の低下、ビタミンB2不足と言われますが、原因は不明です。特に幼児の場合、普通に食事していればビタミン不足になることはありません。対処療法や病院の処方薬で乗り切って。
水ぶくれ
→下口唇のう胞
下唇に何度も水ぶくれができるようなら、下口唇のう胞かも。口内炎がなかなか治らない、口の中に繰り返し水ぶくれができるという場合は口腔外科か耳鼻科を受診しましょう。
咳が続く
→喘息様気管支炎
風邪でないかも。小児科や耳鼻科へ。