絵本『あんなに あんなに』著者ヨシタケシンスケさんに聞きました。「家族という単位の面白さ、ままならなさ」
絵本の登場人物と、わが子の昔や今、そして未来の姿が重なって、思わずこぼれる涙……。いつだってわが子を思うママパパの心をふるわせる「泣ける」絵本をご紹介します。
『あんなに あんなに』の著者ヨシタケシンスケさんにプチインタビュー。そして、「家族の時間、確かな絆」をテーマにした絵本を紹介します。
※対象年齢は目安です。絵本はどの年齢で出会ってもよいものです。
ヨシタケシンスケさん
に聞きました
※内容、年齢などは2022年インタビュー当時のものになります。ご了承ください。
家族という単位の面白さ、
ままならなさ
うちは長男が中学生になり、もうすぐ背も追いつかれそうですが、これはまさにそんな今だからできた本ですね。「あんなにちっちゃかったのに」と思うことも多くなったけど、いつまで経ってもその変化に慣れることってない。この先もずっと「あんなにあんなに」
って言い続けるんだと思います。
でも、子どもが大きくなっても、人の本質ってなかなか変わらない。そんなお互いのできなさにつきあっていくところも含めて「家族」の面白さというか、ままならなさというか。そのつど微調整をしながら、どうにかこうにかやっていく、それを時間が経ってから振り返って遠目で見たときに、美しく見えるように人の心はできてるんだなあ、という気がします(笑)。
読者の方がそれぞれ自分の思い当たる節をたぐり寄せて読んでくれたり、何か思うところがあったりしてくれればうれしいです。
あんなに あんなに

3歳~ 振り返れば見えてくるものがある
『あんなに あんなに』
ヨシタケシンスケ/作 ポプラ社 1320円
あんなにほしがってたのに、あんなに泣いてたのに、あんなに小さかったのに、もうこんな。子育ては数えきれない「あんなに」と、泣き笑いの繰り返し。そしてきっとこれからも。

ヨシタケシンスケさん
よしたけしんすけ/1973年神奈川県生まれ。『あんなに あんなに』などでMOE絵本屋さん大賞第1位を7回受賞。2025年12月2日からは、高知で「ヨシタケシンスケ展かもしれない」がスタート。
家族の時間、確かな絆
喜びや涙、さまざまな思いを重ね、ずっと続いていく家族の形。
かしの木の子もりうた

0歳~ 子どもが巣立っても歌い続ける子守唄
『かしの木の子もりうた』
ロバート・マンチ/原作 細谷亮太/文
いせひでこ/絵 岩崎書店 1650円
「だいじなだいじな わたしのあかちゃん あなたのことが だいすきよ」。いつまでも母は歌い続けます、あなたは私の宝物と。名作『ラヴ・ユー・フォーエバー』が新たな絵で登場。
ちいさな あなたへ

4歳~ 65万部突破のベストセラー
『ちいさな あなたへ』
アリスン・マギー/文 ピーター・レイノルズ/絵
なかがわちひろ/訳 主婦の友社 1100円
夢見て眠る娘のこれからを思う、母の静かなモノローグ。その未来に広がる喜び、悲しみ、希望、そして新しい生命。シンプルな言葉と絵に込められた、わが子への果てない愛。
わたしたち

3歳~ 永遠の絆を動物の親子に重ねて
『わたしたち』
パロマ・バルディビア/作
星野由美/訳 岩崎書店 1540円
もしもわたしがひつじなら、小さなあなたはこひつじ。わたしがうまなら、あなたはこうま。いつかあなたが飛び立って、違う姿になったとしても、わたしたちの絆は変わらない。
いしゃがよい

2歳~ いつしか代わる、親子の役目
『いしゃがよい』
さくらせかい/作 福音館書店 990円
体が弱いパンダのファンファンを自転車に乗せて、親代わりのエンさんはいくたびも山を越えてお医者さんへ通います。そして長い月日が流れ、おじいさんになったエンさんは……。
つみきのいえ

5歳~ 重なる家に眠る、いくつもの思い出
『つみきのいえ』
加藤久仁生/絵 平田研也/文 白泉社 1540円
海の水が上がるたびに、上へ上へと積み重ねられた家。今はひとり暮らしのおじいさんがある日海にもぐると、下の家で過ごした家族の思い出が、ひとつひとつよみがえりました。
わすれたって、いいんだよ

3歳~ 忘れることで、得られたものは
『わすれたって、いいんだよ』
上條さなえ/文 たるいしまこ/絵
光村教育図書 1430円
沖縄料理店で自慢の腕をふるうおばあちゃん。でも、伝統の餅菓子「ムーチー」だけは作れないと言います。それには、おばあちゃんのお誕生日にまつわる悲しい理由がありました。
だいじょうぶ だいじょうぶ

5歳~ 言葉の魔法の、優しい連鎖
『だいじょうぶ だいじょうぶ』
いとうひろし/作・絵
講談社 1100円
怖がりなぼくに、おじいちゃんがいつもおまじないのようにつぶやいた言葉、「だいじょうぶ だいじょうぶ」。その言葉に何度も包まれて、ぼくは少しずつ強くなっていきます。
あかり

6歳~ 少女の人生を照らしたろうそく
『あかり』
林木林/文 岡田千晶/絵 光村教育図書 1430円
女の子が生まれてから、成長の節目ごとに灯されてきたろうそく。それはたとえ小さくても、おひさまよりもお月さまよりも力強く、女の子の心を照らしてくれるあかりでした。
編集協力/原陽子(JPIC読書アドバイザー) (kodomoe2022年4月号掲載)



































