2025年12月1日

「板垣李光人くんはそっと甘いものをくれる優しい子」「中村倫也さんは初めてでもどこかで会った気にさせてくださる方」【板垣李光人さん&中村倫也さん 初共演インタビュー】

アニメーション映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』で、声優を務めた板垣李光人さんと中村倫也さん。板垣さんは主人公の心優しい漫画家志望の青年・田丸を、中村さんは頼れる相棒・吉敷を演じました。おたがいの印象や終戦80年の今こそ向き合いたいテーマの作品に抱いた思い、ご自身で制作した絵本について語っていだきました。

疲れたカラダに染みた甘いもの

――アフレコを一緒にされたのは1日だけだったそうですね。

中村 おたがいに疲れてきた夕方くらいに、そっと甘いものをくれました。優しい子なんだなと思いました。

板垣 フフフ! 僕もちょうど糖分を欲してる時間帯だったので、「一緒にどうぞ」と思って。

中村 「きっとヤツも欲しいだろうな」って?(笑)

――今回が初共演とのことですが、おたがいの印象についてお聞かせいただきたいです。

「板垣李光人くんはそっと甘いものをくれる優しい子」「中村倫也さんは初めてでもどこかで会った気にさせてくださる方」【板垣李光人さん&中村倫也さん 初共演インタビュー】の画像1

板垣 メディアで拝見するお姿と変わらず、誰に対しても、すべてのものごとにフラットな目線と気持ちでいらっしゃる方です。初めましての方とお話されてるのを見かけたときも、「どこかでお会いされてたのかな?」って思ったくらい。そこがすごく素敵だなと思いました。

中村 フッフッフ。

――板垣さんも、初対面でも緊張はされませんでしたか?

板垣 そうなんですよね。僕にもそういうふうに接してくださるので、自然と緊張しすぎずにいられました。

――中村さんからはいかがですか?

中村 かわいい子だなと思ってて、実際に会ったら、かわいくていい子なんだなってわかりました。甘いものくれたから。

板垣・中村 アハハハハ!

中村 あと、表に出る人っていろんなタイプの人がいると思うんですけど、彼はちゃんとその場の空気を探る子なんだなって思いましたね。その辺はなんか、ちょっと田丸っぽいなって。きっと、自分ひとりだけの密かな楽しみみたいなものは持ってるんだろうなと思いました。奥にはブレなさを感じたというか。でも、とにかくいい子だなと思いました(笑)。

板垣 ありがとうございます(笑)。

――「自分だけの楽しみを持ってそう」という予想は当たっていますか?

板垣 そうですね。小さいときからわりとひとり遊びも好きでした。自分の世界で妄想するのが好きで。

中村 「たぶん、誰にも邪魔されない時間が生きていく上で必要な子なんだろうな」って思ったよ。

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ゆで卵みたいな主人公が
温もりをくれる

――本作は凄惨な戦争をテーマにしながら、3頭身のかわいらしいタッチのキャラクターで描かれているところが特徴のひとつですよね。

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©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会

板垣 デフォルメされているからこそ、想像の余地があると思います。僕が演じた田丸は“く”の字の目が開くことなく、基本的に口元だけで表情が変わりますし、ほかのキャラクターも、たとえば眼鏡で全く目が見えてなかったり。もちろんストーリー自体は凄惨な部分もありますけど、この絵とのバランスで、より見る人に響くのかなと感じました。

中村 うん。このキャラクターデザインで間口が広がると思いますし、あまりにも写実的に描かないことによって、見ている側がより深く想像できるというか。描きすぎないことで描けることがあるんじゃないかと思っています。

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――それぞれが演じられたキャラクターには、どんな印象を抱きましたか?

板垣 田丸は、“きれいにむけたゆで卵みたいな心”を持っていると思いました。白くてつるんとしていて、それでいて触れると人肌に温かくて、柔らかくて、弾力があるような。主食ではないけど、あるとうれしい。軍隊の中で隊長になるタイプではないけれど、彼がいるとその場が少し温かくなるような人です。

中村 吉敷はリーダーシップがあり、危機的状況でも最適な⾏動が取れるしっかりものの⻑男!というイメージですね。

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田丸は漫画家志望の心優しい兵士。戦地で仲間の最期を記す「功績係」に任命される。 ©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会

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勇猛で頼れる上等兵の吉敷。同期の田丸と共に励まし合いながら、特別な絆を育んでいく。 ©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会

――おたがいのキャラに感じた魅力も教えてください。

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板垣 田丸は物語の主人公ではあるけど、臆病で気が小さいところがあって、「先陣切って行くぞ!」というキャラクターではありませんが、吉敷は技術もあるし、頼れる強さと芯を持ってる。でも何がいいかって、最初は田丸が吉敷のことを頼りにしてるんですけど、後半に行くにつれて、吉敷も人間らしい部分というか、弱さも見えるようになっていくんです。田丸がずっと寄りかかりきりだったように見えて、しっかりとおたがいを支え合っている。その吉敷の人間らしい部分に愛おしさを感じています。

中村 田丸のいちばんいいところは、「自分が弱い」と知っていることなのかなと思っていて。だからこそ周りを見ていて、功績係という役割を与えられたときに「あの人はこういうところがあって、こういう人だったな」と思い描くことができた。たぶん、吉敷が功績係をやれって言われても、そこまで人のこと覚えてなさそうな気がしますよね(笑)。

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――板垣さんは、アフレコの前に実際にペリリュー島を訪れたんですよね。

板垣 はい。ふだんの芝居とは違って、声優のお仕事はずっとブースの中で演じないといけないので、いかにイマジネーションを膨らませることができるかが大切なんです。なので、実際にペリリュー島に行った経験は大きかったです。島の風土もそうですし、外の気温と洞窟の中の温度差、森の中に入っていったときの険しさとか、そのまま残ってる戦車とか。「楽園のような場所です」って母に宛てる手紙で書いているシーンがあるんですけど、まさしく景色はすごくきれいで。それは実際に行ったからこそ想像できて、声で演じることにはまだ慣れていないからこそ必要なことだったと感じています。

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