
初めてかかると重症化の恐れも! 赤ちゃんをRSウイルスから守る妊娠24週目からの「マタニティワクチン(母子免疫ワクチン)」とは
夏カゼを引き起こすウイルスのひとつ、RSウイルス。今がまさに感染ピークの時期です。赤ちゃんが初めてかかると重症化のリスクもあり、看病するママパパの心配や負担も大きいもの。日常でできる感染予防の方法や、有効な手段の1つとして注目されている「マタニティワクチン(母子免疫ワクチン)」について、産婦人科医の三輪綾子先生の教えていただきました。
2歳までにほぼ100%の子がRSウイルスに感染
RSウイルスは気管支などの呼吸器に炎症を起こす、いわゆる夏カゼのウイルス。感染すると発熱、鼻水、強いせきやから、症状が重くなると呼吸が荒くなったりといったり呼吸困難の症状が出ることも。
「1歳までに50%、2歳までにほぼ100%の子どもがかかると言われている、とても身近でありふれたウイルスです。以前は夏から秋が感染のピークでしたが、近年は春から夏に前倒しになっています。今はまさにピークの最中と言えるでしょう」(三輪先生)
初めてかかると重症化の恐れもあり、要注意!
ありふれたウイルスとは言え、赤ちゃんが初めてかかると重症化のリスクが。
「生まれてから6か月くらいまでの赤ちゃんは免疫機能が未熟。また、気管支が細いため炎症を起こすと詰まりやすく、重症化しやすいのです。酸素の通り道が塞がれてしまうことで、呼吸困難に陥る危険性もあります」
上に幼稚園や保育園、小学校に通っているきょうだいがいる場合は、リスクも高まります。感染してしまうと、ママパパは仕事を休んだり病院に連れていったり、さまざまな面で負担が。
実際に、子どもがRSウイルスに感染した際には多くのママパパが「精神的、経済的負担があった」とする調査結果もあります。

出典)関根英輝ほか:新薬と臨床73(6):557,2024
妊娠中のワクチン接種で赤ちゃんを守れる!
「マタニティワクチン(母子免疫ワクチン)」って?
生後6か月までの赤ちゃんをRSウイルスから守るのに有効なのが予防接種。これは赤ちゃん本人ではなく、お腹に赤ちゃんがいるママが接種するものです。
「赤ちゃんは、ママの胎盤やへその緒を通じて抗体の一部を受け次いで生まれることで生後数カ月は感染症から守られます。それを『母子免疫』といいますが、RSウイルスの予防接種はそのしくみを利用した『マタニティワクチン(母子免疫ワクチン)』。赤ちゃんがお腹のなかにいるうちにママがワクチン接種をすると、生後約半年はRSウイルスに感染しにくくなります。
ワクチン接種の対象となるのは妊娠24週から36週の妊婦さん。でも、抗体ができるまでの必要時間を考えると、妊娠30週あたりの接種がベストです。人によっては接種箇所に赤みや腫れが多少出ることはありますが、重い副反応はありません」
RSウイルスのワクチン接種について、もっと知りたい方はこちら↓をぜひチェック!
日本産科婦人科学会制作動画 「知ってる!?母子免疫ワクチン」
生活習慣を整えて感染に負けない体に
RSウイルスから身を守るには、ふだんの生活習慣を整えることも大切。
「体の免疫機能を調整するビタミンDは、日光を浴びることで体内で作られます。夏休み中はどうしても遅く寝て遅く起きて…となりがちですが、朝早く起きて涼しいうちに親子で外を散歩してみると、免疫力も生活リズムも整うので一石二鳥です。また、冷房をかけていてもあまり長時間部屋を締め切ったままにせず、2~3時間に1回程度でいいので窓を開けて換気をしましょう」
赤ちゃんを守るRSウイルスワクチン。接種費用を全額負担してくれる自治体もあります。妊娠中のママは、選択肢の1つとして考えてみてもいいかもしれませんね。
教えてくれたのは
三輪綾子先生
みわあやこ/産婦人科専門医。「サードクリニックギンザ」(東京・銀座)院長。札幌医科大学医学部卒業後、順天堂大学産婦人科学講座入局。勤務医を経て現職。日々の診療のほか女性のヘルスケア向上の啓蒙活動にも注力。
イラスト/河原奈苗 撮影/花田梢