家族なのに「境界線」なんて冷たい? 親子で意識したい境界線=バウンダリーの考え方【最新号からちょっと見せ】
ちゃんとした子に育ってほしい、いろいろな経験をさせてあげたいetc. 親心からつい子どもの気持ちをスルーしていませんか? kodomoe8月号では、自分のことも、周りのことも、大事にできる人になるために。親子で意識したい「境界線」の考え方を紹介しています。ウェブではその中から一部をご紹介。メンタルケア・コンサルタントで公認心理師の大美賀直子さんに、「境界線(バウンダリー)」の大切さとは? をうかがいます。
親子でも別の人間!
境界線=バウンダリーが大事です
まずは「境界線」の概念を知ることからスタート。「家族なのに境界線なんて冷たい」? いえいえ、個を大切にするために必要な「けじめ」です。
境界線を意識すると
自分も相手も大事にできる
線を引くのは自分!
外側から見守って

境界線は、人によっても、また成長の度合いやそのときどきの気持ちによっても変わり、その範囲や種類は常に「自分が」決めていいものです。
「境界線とは、自分と他者とを分ける心理的、物理的な区別のこと」とこたえてくれるのは、メンタルケア・コンサルタントで公認心理師の大美賀直子さん。
「親子、特にママと子どもは境界線ゼロからスタートし、成長と共に徐々に、自分と他人とは見ているもの・感じているものが違うと分かるようになってきます。とはいえ、幼児期はまだ境界線は理解できず、自分が思うようにママが動いてくれないとかんしゃくを起こしたりといったことがあります。親はそうした気持ちに寄り添いながらも、徐々に親子、そして他者との境界線(違い)を意識できるように関わっていくことが、子どもの自立につながります。ところが、子どもが小さいうちは親がやってあげたり声をかけたり密着度が高いため、親の方も境界線を意識せずに子育てを続け、家族間・親子間の線引きがあいまいなまま成長してしまうことも多いようです。
子どもを想うあまり先回りしたり、子どもの感情に同調してしまうのは、親としてはよく分かります。また『家族なのに線引きなんて水臭い/冷たい』という声も聞きます。でも線は壁とは違い、線の向こう側にいる相手のことはきちんと見えるから、SOSを出していれば助けてあげられる。親も子も線引きがきちんとできたほうが、結果的にお互いを大切にできる。まずは境界線を意識することから始めましょう」
教えてくれたのは
大美賀直子さん
おおみかなおこ/メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士。個人のカウンセリングのほか、産業カウンセラーとして人間関係、家族関係、生き方などの相談に乗る。
イラスト/meppelstatt(kodomoe2025年8月号掲載)