卒園の季節に読みたい絵本『そつえんセブン』をご紹介【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより】
ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめするweb連載「親子の読み聞かせに。今日の絵本だより」。過去にご紹介した絵本の中からピックアップ。親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。今回は、卒園の季節に読みたい絵本をご紹介します。
そつえんセブン
『そつえんセブン』
もとしたいづみ/作 ふくだいわお/絵 世界文化社 1320円
3月もそろそろ、卒園シーズン。
「卒園」と聞くと大人はついしんみりしがちですが、当の本人、子どもたちは意外にそうでもなかったりしますよね。
特にはじめて卒園式を体験する子にとっては、「卒園」と聞いてもなんだかよくイメージできないもの。
『そつえんセブン』はそんなときにもぴったりな、卒園式の準備から当日の式の流れまでが楽しくわかるお話です。
「なんだ? あれは!」
園庭から見上げる空に、飛んでくる人影が。
「とりだ! ひこうきだ!
ながれぼしだ!」
「いいや、そつえんセブンだ!」
みんなの前にさっそうと降り立ったそつえんセブン、
「わーっはっはっは。これから そつえんしきの じゅんびの ために、
ときどき くるから よろしく!」
と、いきなり張り切っています。
園のみんなはそんなセブンに驚くこともなく、卒園式の服を買ってもらったことや、先生がお祝いの準備をしていることをおしゃべり。
そして、
「ねえ、わたしたちも おかあさんや せんせいが
よろこんで くれる こと、なにか できないかなあ?」
と、セブンと一緒にあれこれ話し合い、内緒でありがとうカードを作ることにしました。
作業の合間も、けんかしたり、ちょっとしんみりしたり、学校が楽しみになったり、卒園前にいろんな気持ちを行ったり来たり。
そしていよいよ、卒園式の当日。
セブンも正装して空から飛んできました。
緊張しながらの入場、ひとりずつの卒園証書授与、みんなの歌になると
「これ きくと、わたし ないちゃうんだよなあ」
とハンカチを出すセブン。
堂々と歌い終えたみんなは、ありがとうカードも大人たちにサプライズでプレゼントして、大満足。
「みんな、そつえん おめでとう!」
と、セブンも笑顔で空に飛び立っていきます。
お話の中でみんなが歌った(セブンが泣けちゃうという)卒園ソング「ずっとずっとわすれない」は、絵本のカバー袖についたQRコードから実際に聞けるようになっています。
本の一番最後には、絵や言葉、写真を残せる思い出ページもあって、愉快なお話を楽しむだけでなく、一冊まるごと卒園記念品にできそうな絵本です。
選書・文
原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。