『ようかいサッカー』【親子の読み聞かせに。今日の絵本だより 第369回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子の読み聞かせにこんな絵本はいかがですか。
『ようかいサッカー』
聞かせ屋。けいたろう/文 ひろかわさえこ/絵
ポプラ社 1815円
11月11日は、サッカーの日。
それにちなんで今回は、サッカーとなんと妖怪のコラボ絵本、『ようかいサッカー』をご紹介します。
土手の上から、サッカーの試合を見ている子どもがひとり。
「ぼくも やってみたいなぁ」
そうつぶやいているのは、人間の子どもじゃなくて……ひとつめこぞう。
夜になって、誰もいないサッカー場で、落ちていたサッカーボールを蹴ってみます。
ポーン。
「あ、たのしいかも!」
それから毎晩やってきて、ボールを蹴っていたひとつめこぞう。
ある日、友だちの妖怪も誘ってみることにします。
ちょうちんおばけに、「ねぇねぇ、 サッカー やらない?」。
かっぱに、「あした いっしょに サッカー やろうよ」。
あちらこちらで声をかけたら、次の日の夜。
「ばぁ!」
たくさんの妖怪が、サッカー場に集まりました。
ひとつめこぞう、ちょうちんおばけ、かっぱ、ざしきわらし、からかさおばけ、ばけねこ……。
赤チームと青チームにわかれたら、
「ぱーぷー♪」
とうふこぞうの笛で、さあ、キックオフ!
まずはひとつめこぞうが見事なドリブルで相手をかわし、かっぱにパス。
そこへゆきおんなが「ふーっ!」と冷たい息を吐いたら、地面が凍ってみんなつるつるすってんころりん。
いったんもめんがボールを背中にのせてゴールに向かうも、からかさおばけが華麗にディフェンス。
妖怪メンバーならではの愉快なプレーが、次から次へと繰り出されます。
「妖怪の絵本って、怖いのかな?」なんて思っていたら、もったいない!
いきいき駆け回るみんなを応援したくなる、元気が出ること間違いなしの、はつらつサッカー絵本です。
2024年春に、第5回「親子で読んでほしい絵本大賞」(JPIC読書アドバイザークラブ主催)の第3位を受賞と、読み聞かせにはお墨付き。
後ろ見返しに並ぶ、メンバー全員のサッカーカードにもわくわくです。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、司書、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。