2023年8月21日

この世で最良の母親は「まあまあの母親」!? 産婦人科医・宋美玄さんとだいすけお兄さんが対談【だいすけお兄さんのパパシュギョー!・本誌編】

だいすけお兄さんが、パパやママの代わりにさまざまなジャンルの専門家からお話を聞く「だいすけお兄さんのパパシュギョー!」。kodomoe本誌で人気の連載を、webでもご紹介します。kodomoe2021年4月号のゲストは産婦人科医の宋美玄先生です。

さらに、本誌だけでは伝えられなかったお話をkodomoe webでご紹介しています。
「産後ママ&パパは、育児のハードルを下げるための、夫婦のすり合わせが重要です!」はこちら

産後ママのココロとカラダについて、
教えてください!

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シャツ13200円、ジャケット25300円、トラウザーパンツ21780円(quadro)、シューズ23980円(ZDA)/全てquadro

産後ママはボロボロ状態
パパは正しく理解して

出産直後から始まる赤ちゃんのお世話。どう向き合っていけばいいのか、宋先生にうかがいました。

宋先生(以下宋) 「おかあさんといっしょ」、いつも見てました。今は子育てと仕事がリンクして、ますますいい感じですね。

だいすけお兄さん(以下だいすけ) いや、自分が経験するのとは、やっぱり全然違いますね。育児情報も、特にネットだと正直何が正解なのかわからなくて。

 育児のことになると、人の価値判断が混じった情報が増えるんですよ。今はSNSでひとりひとりがメディアになっているから、「母乳で育てるべきだ」、「ミルクでもいいやろ!」とか、ニュートラルな情報が見つけづらい。医学と育児の情報って全然別で、「子どもが泣いたときにどうしたらいいか」も、各家庭で何がフィットするかは違いますから。

だいすけ 個々で違うんですね、正解が。

 そうなんですよ。母乳も離乳食も、子どもの個性って多様なので。そのあたりは、夫婦でまずすり合わせるのが大事ですよね。

だいすけ ママが迷ったりネガティブになってしまうとき、パパはどう肯定していくのがいいんでしょうか。

 ママ自身もいろいろ不安だと思います。特に産後は、ホルモン的にも危機的な時期なんですよ。

だいすけ 危機的?

 妊娠中には普段の200倍近く出ていた女性ホルモンが、産後数時間でほとんど0になるんです。プロラクチンとオキシトシンという母乳にまつわるホルモンが、胎盤が剥がれたらほとんど出なくなる。でも、赤ちゃんが乳首を吸ったときだけ、グーッて分泌されるんです。産後の一番ボロボロなときに何回も吸わせないといけない。ママが苦労しないといけないメカニズムになっているんですよ。そういう状態をパパには理解してもらって、授乳以外の家事はなるべく担当してもらうと、チームの育児になるし、ママの体にもいいと思うんですけどね。

だいすけ 育児に参加する男性は増えたようですが、その参加のしかたで失敗したっていうパパの声もよく聞きます。

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今こそパパの出番ですね!

 出産で体が傷ついた状態で、夜中に小刻みに起こされる。しかも女性ホルモンが下がってメンタルも落ちているから、ブチッとなりやすいんです。できれば妊娠した時点で、「うちの家事レベルはこれぐらい」というすり合わせをしておくのが大事かなと思います。

育児の目標設定を下げて 心に余裕を持つことが大事

だいすけ がんばろうとしてうまくいかないパターンが多いと思うんです。そんなパパの気持ちを上げていくには?

 まず、育児の目標設定を2人で下げておく。私は、ごはんが手づくりかどうかよりも、心に余裕を持って赤ちゃんへ愛情を注ぐ方が大事だと思うんですよね。ウィニコットというイギリスの児童精神科の先生が「この世で最良の母親というのは、“まあまあの母親(グッド・イナフ・マザー)”である」と、すごくいい言葉を言っていて。気楽にぼちぼち、それが一番だと。

だいすけ なるほど! 心の余裕を作っていくことが大事なんですね。

 赤ちゃんが自己肯定感を育むには、人を信用できる心の土台が必要なんですね。自分は大事に育ててもらっていると思える関係、「アタッチメント(愛着関係)」といいますが、親子でそれを築くための3つのポイントが「アイコンタクト」、「話しかける」、「スキンシップ」。こうした行為は、やっぱり親側に余裕がないと減ってしまうんですね。

だいすけ 今のコロナ禍で、どう子育てしていけばいいのでしょう?

 ママが「ひとりの時間を作る」ことは重要だと思います。他人に預けづらい現在、今まで以上にパパの出番が増えると思います。パパも大変ですが、テレワークでおむつを替えたりしながら仕事ができるのは、いい面もあるかなとは思います。それから、赤ちゃんには、できるだけ反応してあげる。泣くのは赤ちゃんの努力なので。

だいすけ ああ、いいですね、それ。赤ちゃんは努力して泣いてるんですね。

 そう、何か訴えてるんですよ。その正解を探り当てないまでも、抱っことかおむつ替えとか、「あっ、泣いたら相手してくれる」という安心感、乳児期はそのレスポンスが一番大事かなと思います。

だいすけ どうしても泣き止まないときが、うちもありました。泣き方がいつもと違うし、汗も全身にかいていて。病院に電話して、連れて行ったら「大丈夫です、笑ってますね」って。でも、お医者さんから「不安なら、自分で判断し過ぎなくてもいいし、連れてきてもらっていいんですよ」って言ってもらえて、ホッとしました。

 ほんまそうですよね。「いつもと違う」ってわかるのも、素晴らしいことですね。

だいすけ いえいえ、まだまだシュギョーの身です。何をやるかではなく、パパも赤ちゃんに対して何でもやってみるのがよさそうですね。勉強になりました、がんばります!

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「ママひとりの時間」も必要なんですよ

シュギョーのまとめ

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さらに、本誌だけでは伝えられなかったお話をkodomoe webでご紹介しています。
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横山だいすけ
よこやまだいすけ/千葉県出身。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」の歌のお兄さんを2017年3月まで最長9年務める。「子どもに良質の音楽を届けたい」という目標のもと、舞台、ラジオ、TVなど幅広く活躍。YouTubeチャンネル「だいすけお兄さんのわくわくスクール」も配信中。

最新情報はこちらをチェック!
Web:yokoyamadaisuke.com/
Blog:ameblo.jp/daisuke-yokoyama/
Twitter:@daisuke_minna

Today’s Master

宋美玄先生
そんみひょん/産婦人科医。医学博士。丸の内の森レディースクリニック院長。女性の性や妊娠・出産について啓蒙している。2児のママ。『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』(星海社)など著書多数。

撮影/大森忠明 スタイリング/吉岡ちさと ヘアメイク/安藤千浪 編集協力/原陽子(kodomoe2021年4月号掲載)

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