『きょうりゅうかくれんぼ』【今日の絵本だより 第322回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『きょうりゅうかくれんぼ』
アレックス・ラティマー/作 聞かせ屋。けいたろう/訳 KADOKAWA 1540円
子どもと一緒の毎日は、めまぐるしく、あわただしく。
その中で絵本の読み聞かせって、「なんだか大変そう……」と思われる方におすすめなのが、遊び感覚で楽しめる参加型絵本。
絵本の中からの呼びかけに答えたり、一緒に何かを探したり。
じっとお話を聞いているだけは苦手、というお子さんにもおすすめです。
今回は、発売になったばかりの楽しい参加型絵本、『きょうりゅうかくれんぼ』をご紹介します。
表紙を開くと、カラフルな恐竜が8匹。
オレンジ色のアンキサウルスが呼びかけます。
「やっほー! こんにちは。
かくれんぼするひと てをあげて。」
思わず、手をあげて言っちゃいますよね。
「はーい!」
すると、
「よし、それじゃあ はじめよう……。
きょうりゅうかくれんぼ!」
じゃあ、アンキサウルスと一緒に、目をつむって10数えましょう。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。
「もういいかい?」
「もういいよー!」
さあ、一緒に探しに行こう。
最初は、ステゴサウルス。
一面の草や岩の中、背中のツンツンを目印に、ステゴサウルスを見つけられるかな?
カラフルで親しみやすい恐竜たちはもちろん、木々の上に広がる空、太古の海の中、深い緑の森、自然の香りがあふれるような絵がいい気持ち。
訳者は、読み聞かせのプロであり保育士でもある、聞かせ屋。けいたろうさん。
子どもたちがノリノリになるであろう言葉の選び、流れるようなリズムはさすがです。
一冊の世界にどっぷりひたれる安心感は、「子どもと一緒に過ごしている人」の言葉が醸し出すものだと思います。
シリーズ第一弾『まいごのたまご』を未読の方は、2冊合わせて読むのがおすすめ。
「あ!」と気がついたら、もう一度『きょうりゅうかくれんぼ』を最初から読み返したくなるはず。
かくれたお楽しみを、ぜひ親子で見つけてくださいね。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。