『ぶどうおいしくなーれ』【今日の絵本だより 第315回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『ぶどうおいしくなーれ』
矢野アケミ/作 大日本図書 1320円
発売中のkodomoe10月号では、絵本特集「おいしい秋をめしあがれ」で、秋の味覚の絵本を全部で28冊、もりだくさんに紹介しています。
今回はその中から、1冊をピックアップ。
先月発売になったばかりの新刊、『ぶどうおいしくなーれ』をご紹介します。
ぶどうがおいしくなるおまじない、知ってる?
さあ、一緒に唱えてみよう。
「ぶどーる ぶどーる
おいしく な~れ~」
すると、皮の中から、ぽん!
と出てきたのは、まあるい……おだんご?
ぶどうじゃないけど、食べちゃおう、むちゃむちゃむちゃ。
では、改めて、もう一回。
「ぶどーる ぶどーる
おいしく な~れ~」
またまた、ぽん!
今度は……たこやき!
声に出してワクワクするおまじないと、「ええーっ!?」というサプライズ。
出てきた中身は違うけど、うん、おいしい、楽しい。
その繰り返しが心地よくて、これは「もういっかい!」必至の絵本ですね。
保育園や幼稚園での読み聞かせでも、きっともりあがるんだろうなあ、とニマニマ想像しちゃいます。
毎日忙しいと、絵本1冊読むのにも気力体力がいると思うのですが、これはそんなときにもきっと気軽に読めるはず。
「うちの子は絵本、あまり興味がないみたいで」「ゆっくり絵本を読む時間がなかなか……」というおうちにもおすすめです。
お気に入りになったら、食卓にぶどうがあるときに、
「ぶどーる ぶどーる
おいしく な~れ~」
と、親子で唱えてみるのも楽しそう。
果物の秋×読書の秋、まさにこの時季にぴったりの一冊です。
シリーズ既刊『バナナおいしくなーれ』『みかんおいしくなーれ』も、ぜひあわせてどうぞ。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。