首都圏・都市部は「内水氾濫」に注意!目安は1時間に50mmの雨【防災ノウハウ】
首都圏や都市部で多く起こる「内水氾濫」をご存じですか? アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに、災害時に備えてチェックしたい情報をおうかがいしました。
首都圏・都市部は
「内水氾濫」に注意!
「首都圏や都市部で多く起こる『内水氾濫』とは、短期間に雨がたくさん降ることで、市街地の排水処理能力を超えてしまい、建物や道路が水に浸かってしまうことを言います。周辺に河川はなくても、低い土地やゼロメートル以下の土地、まわりよりくぼんでいて昔は沼だった地域などは注意してください。
問題は、内水氾濫がハザードマップに反映されていない地域が多いこと。『マップ上では浸水予想区域ではない』『地図上で白く表示されている』などが、全て安心・安全ではないことを覚えておいてください」
そして、内水氾濫にはさらに危険な点も。
「内水氾濫は洪水と違い、流れがない場合があります。そのため、冠水していても水の中を歩くことができると思われがちですが、実はその中には汚物がたくさんでとても不衛生! また、階段や坂道、側溝などでの速い流れによって足をすくわれることもありとても危険です。
冠水したら、水の中には入らない! と決めて、浸水する前の早めの避難、または、上層階への避難を検討してください」
1時間に〇mmの雨
お相撲さんが降ってくる!?
「内水氾濫の場合は、1時間あたりの雨の量を目安にします。
目安にするのは『1時間に50mm』の雨量です。都市部の内水氾濫では、おおむね50mmを超えると浸水が始まる恐れがあるとされています。
ところで、この『1時間に◯mmの雨』というのは、イメージしづらくないですか? たとえば『1時間に100mmの雨』とは『1時間に100mm=10cmの深さの水がたまる』ことを意味します。これは、1m四方に100kgの雨が1時間に1回降るということと同じ。
100kgというと、小さめのお相撲さんひとり分相当だと考えると、1m四方に1時間に1回100kgの小さめのお相撲さんが降ってくるというイメージです! イメージすることで、危険だということを感じていただけましたか?」
「ちなみに『1時間に30mm』の雨は、まるでバケツをひっくり返したような雨で、道路は川のようになり、前が見えず行動が難しい状態になります。20mm以上になると傘をさしていても濡れるのが一般的、10mm以上では地面からの跳ね返りで足元が濡れたり、地面一面に水たまりができるため、子どもを連れての避難はこの『1時間に10mm』の雨でも難しく感じます。
早めの避難を決断する理由は、雨が激しくなると避難することができなくなってしまうから。これらの数値は意識しておきたいですね。」
【出典】
※ http://edomb.wp.xdomain.jp/program/manga 江戸川みんなの防災プロジェクト「どうする? 水害から命を守る行動」
教えてくれたのは
あんどうりすさん
あんどうりす/アウトドア防災ガイド リスク対策.com名誉顧問
阪神淡路大震災の経験とアウトドアスキルを使った日常にも役立つ防災テクを、赤ちゃん子育て仲間に話したのが2003年。技だけなく仕組みと知恵が得られると好評で、口コミで全国に広がる。現在、企業研修など多様な講演、FM西東京パーソナリティ、リスク対策.comなど防災記事も執筆。ゆるくて楽しい防災が好み。
Facebook:https://www.facebook.com/andorisu
※この記事は過去にウェブ掲載されたものを再編集しています。