幸せに生きるための鍵「レジリエンス」ってナニ?
レジリエンスとは、たとえ逆境や困難に直面しても、そこから立ち上がる力のこと。
今回は、レジリエンス教育、ポジティブ教育の普及に努める足立啓美さんに、「レジリエンス」についておうかがいしました。
幸せに生きるための鍵
レジリエンスって?
レジリエンスという言葉を聞いたことがありますか? レジリエンス教育の専門家、足立啓美さんに詳しく教えてもらいました。
「レジリエンスとは、逆境や困難から立ち直る力です。誰もが大変な状況に直面すれば、不安や悲しみ、怒りなどネガティブな気持ちを感じ、苦しくなるのは当然です。しかし、人はこのように心にダメージを受け、立ち直れないと思っても、前に進むことができます。この人間の持つ心の回復力を『レジリエンス』と言います。
レジリエンスを育てるための最初のステップは、自分の気持ちとの上手な付き合い方を身につけること。例えば子どもが転んだときに『痛かったね、悔しかったね』と気持ちを言語化すること、ネガティブな気持ちを感じても大丈夫であることを伝えることが大切です。
レジリエンスが育つと、ストレスへの対応が上手になります。そして、心が凹んだ状態から立ち直る経験を積むほど自信が育ち、生きる力となっていきます。
ママが子どもに怒って後悔……という場合には、ふたつの大事なポイントがあります。ひとつ目は、ネガティブな感情のまま行動しないこと。ネガティブな気持ちを認め、深呼吸するなど落ち着いてから、次の行動を意識してみましょう。
もうひとつのポイントは、ネガティブな気持ちを持つ自分を許すこと。『大変な状況の中よくがんばっているね』と自分にも優しい言葉をかけてみてください。
レジリエンスは日常的に4つの心のパワー(下記参照)を育てると高められます。ひとりで抱え込まないで話を聞いてもらうなど、誰かに助けを求めることができるのも、大切な生きる力=『レジリエンス』です」
レジリエンスの4つのパワー
レジリエンスは、もともと自分の中にあるパワー。筋肉のように、自分自身で鍛えられるのです。
I am:「らしさ」のパワー
ありのままの自分自身を肯定する自尊感情。自分の強みを見つけて活用すると、さらに自尊感情を高めることができ、よりポジティブに。
I have:「きずな」のパワー
家族や友人など、心の支えとなる人との関わりで育つ力。他者から大切にされると安心感で満たされ、困難に立ち向かえるようになる。
I like:「大好き」のパワー
「好き」をはじめ「喜び」「ワクワク」「感謝」「安らぎ」などのポジティブ感情はネガティブ感情を緩和し、上向きスパイラルを生み出す。
I can:「できる」のパワー
自己効力感=自分への能力の信頼感。達成体験を持つことでより高まるので、失敗したときはそれも学びの一部であると伝えてサポートを。
次回は、レジリエンスのキーワード「自己肯定感」や「ポジティブさ」につながる絵本をご紹介します!
教えてくれたのは
足立啓美さん
あだちひろみ/一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事。国内外の教育機関での経験を経て、レジリエンス教育、ポジティブ教育の普及に努める。新刊共著に『見つけてのばそう!自分の「強み」』(小学館)。
イラスト/よしいちひろ 編集協力/原陽子(kodomoe2020年6月号掲載 ※ウェブ用に編集しています)