夏は冷やしてもおいしい。新潟県の「いも味噌」【おうちでカンタン!郷土ごはん・2】
子どもにはおいしくて栄養のあるものを食べさせたいけれど、忙しくて料理する時間がない! レパートリーもマンネリ化! そんなときのお助けメニューにできる“郷土料理”を、さまざまな地域で育ったママたちに教えていただく連載。お話を聞くのは、食のライター・料理家の吉川愛歩さん。今回は、新潟県の「いも味噌」です。
ごはんがすすむおかずが食べたい!
新潟県・いも味噌
やわらかくなるまで茹でた里芋を、お味噌とたっぷりのかつおぶしで和えていく新潟県の郷土料理「いも味噌」。ねっとりとした食感とかつおのだしがきいたおかずは、どこか懐かしさを感じる味です。
「寒い季節には熱々を食べ、夏は冷蔵庫で冷やしたものをあったかいごはんにのせていただきます。苦手な方もいるかもしれませんが、大人用には柚子の皮をたっぷり混ぜると香りよく仕上がりますよ」
今回、郷土ごはんを紹介してくれたのは……
くさかべさとみ さん
自営業。毎朝ごはんを炊いて起こしてくれる母よりしっかりした娘(中3)、時間にルーズな母は頼りにならないと自らタイムキープをこなす息子(小4)、99%在宅ワークの夫と4人で生活中。自主保育「野毛風の子」に入会したことをきっかけに、多摩川で多年齢の子どもたちとたくさんの季節をともに過ごす。
冷蔵庫に常備してあった「いつもの」おかず
見渡す限り田んぼや畑の続く、新潟の自然の中で育ったくさかべさんのもとには、季節になると、実家から里芋が大量に送られてきます。故郷を離れた今も、地元の里芋でいも味噌を作るのだそう。
「里芋って皮を剥くのが面倒だから、少し時間があるときにしか向き合えないんですけど、できあがったときは、おいしい〜! って満足できるお料理です。レストランや外食できるような環境がない地域で育ったので、地元にいたときは実家のごはんばかりでした。いも味噌は実家の母もよく作っていたし、親戚の家でも食卓に登場していましたよ。おもてなしの料理というわけではなく、それこそお漬物みたいにサッと作って冷蔵庫に常備してあった、というくらい身近なもの。分量や切り方にも特に決まりがないので、母の実家のいも味噌は、母のものより甘みが強かった気がします」
上京してきて自信になった、思い出の一品
くさかべさんが上京してきてはじめてこの料理を作ったのは、友達の家でおつまみを作らざるを得ないシチュエーションになったときだったとか。
「それまで料理なんてほとんどしたことがなくて、いつも適当な外食で済ませていたのですが、そのときふと思い出して作ったのがいも味噌でした。それがなんと友達にも大好評で、料理に自信がつくきっかけになりました。冷凍の里芋や、茹でてあるものでもできるので、もう何も献立が思いつかない!というときに、思い出してもらえたら嬉しいです。かつおがきいているとおいしいので、作り方のコツは、かつおぶしをいっぱい入れることでしょうか。里芋が崩れてとろとろになったのをスプーンですくって食べるのもおすすめです!」
かつおの旨みがごはんに合う
いも味噌の作り方
さて、教えていただいた料理を、吉川が自宅で試作。家族でおいしく「いただきます!」。
材料(4人分)
里芋……小10個(250g程度)
かつおぶし……15g
味噌……大さじ1/2
柚子の皮……適量
作り方
1. 里芋は皮をむいて適当な大きさに切る。柚子の皮は千切りにする。
2. 鍋に里芋とひたひたの水、かつおぶしを10gだけ入れて火にかける。
3. 里芋が箸で崩れるほどやわらかくなったら、味噌を加える。
4. 汁けがなくなるまで煮詰めたら、残りのかつおぶしと柚子の皮を混ぜる。
試食メモ
はじめて食べたのに安心する、いつまでも食べていたい味でした。確かにおいもが崩れてとろっとしたところが特においしく、もっとぐずぐずに煮てもよかったなあと反省。子どもたちには難しいかなと思いつつ柚子を入れたら、なんとおいしいと言われてびっくり! 香りはしっかりあるものの、柑橘独特の苦味を感じないのがよかったのかも。そして最後の追いがつおはとても大切なので絶対に忘れずに!
毎日毎食作っていると、なんだか毎回同じものばかり作っているなあ……と感じることもありますよね。里芋ひとつでできる新しいおかず、ぜひ試してみてください。
吉川愛歩
よしかわあゆみ/食のライター・料理家。暮らしと食のコンテンツ制作に携わる。「物語のある料理」「特別じゃないけど記憶に残るごはん」をテーマに、記事執筆やフードコーディネートを行っている。『メスティンBOOK』(山と溪谷社)のレシピ開発を担当。
https://www.instagram.com/yoshikawaayumi/