『わたしの ペットは まんまるいし』【今日の絵本だより 第160回】
kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。
こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。
『わたしの ペットは まんまるいし』
スティーブン W.マーティン/作 サマンサ・コッテリル/絵 久保陽子/訳
ポプラ社 本体1500円+税
ただ今発売中のkodomoe10月号「季節の絵本ノート」では、9月20日〜26日の動物愛護週間にちなんでペットの絵本を5冊、10月13日の「豆の日」にちなんで豆の絵本を5冊、秋にちなんでとんぼの絵本5冊を紹介しています。
動物愛護週間は過ぎてしまいましたが、ペットの絵本の中で取り上げた内のユニークな1冊、『わたしの ペットは まんまるいし』を改めてご紹介します。
ペットがとても飼いたい、シャーロット。
いぬでも、ねこでも、ハムスターでも、どんなペットも大歓迎。
すると6歳の誕生日に、お父さんとお母さんがペットを買ってきてくれました。
「シャーロット、おめでとう!」
とふたりが見せてくれたのは、赤い水玉のリボンが結ばれている、大きくてまんまるな……石!
えっ、動物じゃないの?
これにはシャーロットも、読者もびっくり。
でも、お父さんとお母さんのセレクトもすごいけど、シャーロットもすごいんですよ。
「ちょ、ちょっと、おもっていた ペットとは ちがう……。
でも、まんまるいしにも いいところは あるかもしれない。」
そして、いいところを次々に見つけます。
「わたしの はなしを よく きいてくれる。」
「さわがないし、しつけも かんたん。」
「どうぶつアレルギーの おばあちゃんも なかよくなれる。」
6歳にしてこの考え方、素晴らしい!
この一風変わったペットには、いいところだけでなく困ったこともあるのですが、それでもシャーロットは一緒にヒーローごっこをしたり、漫画を読んだり、大の仲良しに。
でもまんまるいしには動物のような反応がない分、一方通行の愛情なのかなと、ためいきが出てしまう日も。
するとその晩、まんまるいしが……!
最初からずっとワクワクと常識をひっくり返す展開ですが、ラストにはこれまたびっくりの、どんでん返しが待っています。
石を描きながら頭を柔らかくしてくれるこのお話、大人の心もほぐしてくれますよ。
次回も続けて石つながりで、「石と言えばこちら!」な絵本をご紹介します。
選書・文 原陽子さん
はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。