おこもり生活のストレス。子どもの不安はどう受け止める? 夫は一番の敵?
自粛生活が続く今、「家族が新型コロナウイルスに感染したらどうしよう」「子どもを守らなければ……」と自分を追い込んでしまうママが増えているよう。休園、休校の期間が長くなり、社会とのつながりが持てないことも大きな負担に。
前回に続いて今回のテーマは「不安な中で家族とどう向き合えばいいのか」について。最近育児支援オンライン講座を行った、NPO法人日米心理研究所の皆さんのお話を、代表の西澤奈穂子先生に聞きました。
話せることはしっかり話して。子どもの不安をごまかさない
ーー友達や先生に会えない生活が続いたり、ニュース映像から不穏な雰囲気を感じたり……。子どもの不安は、どのように受け止めるべきですか?
理解ができる年齢の子どもとは、しっかり話す時間を持つこと。コロナの問題は難しいトピックが多いですが、その子に合わせたわかりやすい言葉で真実を話すことが大切です。大人が隠したり嘘をつくことで、子どもの不安が強くなったり体に出てしまうことも。何が怖いか、何が問題なのかを子どもとディスカッションしてもいいと思います。
まだ理解ができない年齢の子どもには、あまり詳細に話すと不安をあおってしまうケースも。幼い子どもは何かが起きると「自分のせいなのでは」と思い込んでしまうので、それは違うとしっかり伝えてあげましょう。テレビ電話やオンラインでつながれるのであれば、友達が家にいることを視覚的に見せて「みんな行けない、みんな同じだよ」と話すことも安心につながると思いますよ。
夫は一番の味方で、一番の敵!? 3ステップで心の葛藤をクリアに
ーー家族とほとんどの時間を過ごす毎日で、夫との価値観の違いが気になります。
夫は愛着対象だからこそ、一番の味方であり、実は一番の敵にもなるんです。スーパーの入り口に設置してある消毒を、店に入るときに付けて菌を持ち込まないようにと考える妻と、退店時に消毒してとにかく自分を守りたいように見える夫で、夫婦げんかになったというケースも。こんなときだからこそ、考え方の違いが露呈してそれが目に付きやすいんです。この心の葛藤をどうするかですが、以下の過程で一度話し合いをした方がいいと思います。
1)自分の怒りに目を向ける。自分の感情に気づく
2)怒りを感じたらタイムアウト。一度その場から離れてクールダウン
3)何が大事か、考えを整理して話し合う
冷静に話し合うためには、怒りに「反応」して感情のままに伝えるのではなく、「対応」して何に怒りを感じるのか落ち着いて伝えたほうがいいと言われています。信頼しているからこそ言いすぎてしまうかもしれませんが、そこは一旦謝って歩み寄りを。最後に「いいところ探しの探偵」になってみると、アラばかり見えていても実はいいところもあったなと思い直すことができるかもしれません。
家族のハッピーのために最も必要なのは、ママ自身のセルフケア!
ーー最後に今をがんばるママたちにメッセージをお願いします。
日本のお母さんは完璧主義で自分に厳しいところがあると思うのですが、家族をいつも支えているお母さんこそ、自分にかまけていいんです! 飛行機の緊急時の対応で「子どもに酸素マスクを着ける前に、まずは子どもを守る母親が酸素マスクを着ける」と言われますが、まさにこの精神です。
今はなかなか自分の時間を取りにくいとは思いますが、少しの合間にマインドフルネスにもつながる深呼吸をしたり、ひとりでこっそりアイスクリームを食べる時間を持って気分転換しているなんてママも。少しの時間でもいいので、自分のストレスを発散できて、気持ちよくなれることをぜひ取り入れてみて。ママのセルフケアこそ、家族の気持ちの安定に最も必要ですよ。
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取材・文/野々山幸(TAPE) Photo by Adobe Stock
にしざわなおこ/NPO法人日米心理研究所(JUPI)理事長・臨床心理学博士・アライアント国際大学カリフォルニア臨床心理大学院准教授。日本とアメリカを行き来しながら、子どもと家族の臨床心理の研究や障がいのある家族の支援、子どもの虐待防止活動などを行う。ママを対象とした「ACTすこやか子育て講座」も。http://www.jupinpo.org/
JUPI事務局メンバー:伊藤晶子(育児支援プログラムの企画・実践や海外の文献や資料の翻訳)、粕谷真由美(育児支援プログラム、日本語学校の教員、及び心理カウンセラーとして留学生の心理支援)、鶴巻香奈子(小児看護専門看護師)、佐久間綾子(臨床心理士、公認心理師。専門はトラウマケア)