正方形の写真のいいところ【ママカメラマンのスマホ写真術・15】
育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときのアドバイスを教えていただきます!
トリミングのお話
こんにちは。 今回のスマホ写真術は、写真を撮った後のお話です。 皆さんは、日々いろいろなシチュエーションで、子どもたちを撮影されていると思いますが、 一枚の写真も、トリミングによってとっても印象が変わるのをご存知でしょうか?
こちらの写真は、空港で搭乗待ちをしている際の息子たちの写真です。
私が、売店で買い物をしている間に、息子たちがじゃれあっていたので、少し離れたところからスナップしました。 息子たちが向き合いお互いにあかんべーをしている様子が、鏡写しのようです。 次の写真は、先ほどの写真を正方形にトリミングする前の写真です。
正方形にした写真と比べて見ると、兄弟があかんべーをしていることよりも、がらんとした待合所にいることの情報の方が、浮き彫りになって伝わってきます。
こちらの写真は、散髪中の次男の様子をおさめた写真の正方形パターンと、長方形パターンです。
いかがでしょうか? 長方形の方が、美容師さんが見切れていないので、動きが加わり、また隣のお客さんの対応をしている美容師さんが少し写っていたり、手前のカウンターが少しぼやけて写り込んでいることで、お店の臨場感が情報に加わりますね。それが、正方形にトリミングすることで、バリカンがくすぐったくて笑ってしまう次男の様子に目が集まります。
トリミングすることにより、写真から伝わってくるメッセージに強弱がついたり、情報が省かれていくのは、とても面白いですね。 慣れてきたら、写真を撮る時も、「何を一番見せたいか」 を考えながら、余分なものは、画角の中に入れないことを意識すると、写真もグッと進化していきますよ。
正方形の写真は、写る世界が長方形に比べて限られているので、長方形のフォーマットの時よりも、何を撮っている写真か自然に強調されるところが、いいところかなと思っています。
例えば、こちらの写真は、年末年始の帰省の途中、駅で撮ったものですが、正方形の写真を見ていると、二人とも手にマスクを持っていたり、次男は足の上に長いもの(竹刀が入っている)を置いていることなどが、浮き彫りになってくるように見えます。 長方形の写真は、両脇の窓の情報の分、開けた印象の写真になりますね。
正方形にすると、まとまりのある印象になりますし、ましかくな形自体がかわいいので、小さなお子さんのポートレートととても相性がいいなあと、個人的には思っています。お子さんのお写真を正方形にトリミングしたものを、何枚かプリントアウトし、インテリアとしてお部屋に飾るのも楽しいですよ。
動きのあるものは長方形のフォーマット、静かなものは正方形のフォーマットが合いやすいかなと思いますが、撮った人の感覚で自由に遊べるのもまた写真の面白さなので、みなさんたくさん試してみてくださいね。
今週の一枚
1年生の間だけかぶることになっている息子の黄色い帽子姿も、見納めになってしまうので、走って帰宅した次男を捕まえて 1枚パシャリ。写真を撮っている最中も作り笑顔でグイグイ寄ってきました。今回は、長方形のままにしましたが、これを正方形にトリミングして、思い切って表情に寄ってみるのも、面白いかもしれません。
休園や休校が多くて、お子さんがお家にいる時間が増える傾向ですが、そんなときこそ普段の生活を撮って楽しんだり、溜まった写真をプリントアウトして飾って、家の中の気分を変えるのもいいのかなと思います。
それではまた。
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p