食べているシーンを撮るときは、あえて声はかけないで!【ママカメラマンのスマホ写真術・5】
育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときのアドバイスを教えていただきます!
お皿と同じかそれよりも低くカメラを構えて撮ると、躍動感がでる
みなさん、こんにちは。 東京では、外はまだ汗ばむような陽気の日もありますが、 時折吹く風がひんやりしていて、 秋に向かっているんだなあということを感じるようになってきました。 秋といえば食べものがおいしい季節。 お子さんの食べる姿は、日々側で見ているありふれた光景ですが、 実はとってもフォトジェニックなシーンの一つなんです。
ハロウィンなどのイベントでパーティをしたり、 秋晴れの日にピクニックに行ったり、 楽しい食事の機会が増えるこの時期。 今回は、食べているシーンを撮るときのコツをお伝えしていこうと思います。
ご飯を食べている時の子どもたちは、無我夢中。 笑顔というより、どちらかというと真剣な顔をしていて、野性味に溢れています。
そんな姿を撮りたいと思った時、多くの場合、お子さんはきっと食べものの方、つまりは視線が下に向かっているので、うっかり、お子さんに声をかけて、「どう? おいしい?」なんて話しかけてしまいそうになりますが、お子さんが我に返って食事から興味がそれてしまうこともあるので、食べることに集中している場合はあえて声かけせず、食事に夢中なお子さんの表情を楽しみながら静かに写真に収めていくことをお勧めします。
俯いていて顔がよく見えないなあという場合は、構えているスマホカメラの位置をお料理のお皿と同じくらい、もしくはお皿よりも少し低い位置に下げると、表情がより見えるようになってくると思います。
お子さんの食べ方、テーブルの高さなど、その場所の状況やお料理によって見え方が大きく違ってきますので、撮る時は、カメラの位置を上げたり下げたり寄ったりひいたり、色々試しながら、ベストな位置を探すといいですよ。
特に、パーティーやお祝いなど特別なお料理が並ぶ時は、低い位置からお子さんの表情にフォーカスした写真の他に、逆にお子さんの目線より高い位置から、お料理の様子も入るように撮ると、あとで見直した時に、場所に関することや雰囲気を思い出すきっかけにもなりますよ。
同じ撮り方を、お絵描きのシーンにも応用して
お子さんが小さいと、食事の際は、ママの補助が必要ですし、なかなかゆっくり撮ることは難しいかもしれませんが、この「カメラの位置を自分の視線よりも上げたり下げたりして撮る」ことは、他のシーンにも応用できますよ。
たとえばお絵描きなんてどうでしょうか? クレヨンで一生懸命お絵描きする姿はぜひ残しておきたいですね。机ではなく、おすわりして床に紙をおいてお絵描きしている時は床と同じくらいまでカメラを下げて構えてください。いい表情を狙っているうちにママの体勢がうつ伏せになっているかもしれませんね(私もいつも気付くとうつ伏せになっています)。お絵描きだけじゃなく積み木やお砂場遊びなどさまざまな遊びのシーンを撮る時にも応用できます。
夢中になっている表情は、笑っている表情とはまた違った魅力があります。 今回はシンプルな写真術ですが、一方向からの写真で済ませようとせず、 お子さんの表情を撮るために低い位置からのぞいたり、その場の雰囲気も含めて撮るために少しカメラの位置を高くしてみたりひいてみたり……と、意識してカメラのアングルを変えてみると、見た人によく伝わる写真になりますし、その日のお子さんの様子をバリエーション豊かに残すことができるので、 ぜひ試していただきたいです。
それではまた。
今週の一枚
この写真は5年前、当時4歳の長男が、ゾウのオブジェにペインティングをしているところです。真っ赤なゾウさん。「なぜ赤!?」、「赤を緑の部分に重ねると、混ざって黒になっちゃうよ!」などと、あれこれ声かけしたいことはたくさんありましたが、笑っているのとも怒っているのともまた違う、集中している表情が途切れてしまうのがもったいなくて、心の叫びを抑えめながら、四方からたくさん撮りました。
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p