子どもの運動会や行事の写真を、スマホで撮るコツは?【ママカメラマンのスマホ写真術・4】
育児雑誌などで活躍中のママカメラマン、成田由香利さんによるスマホカメラの写真術。子どもを撮るときのアドバイスを教えていただきます!
みなさんこんにちは。 少しずつ気温も和らぐ日が増えてきましたね。季節は秋。これから運動会や学芸会など、園や学校のイベントが多くなってきます。今回は、運動会でのスマホカメラの使い方についてお伝えしようと思います。
ズームなら一眼レフ。でも、工夫次第でスマホも使えるんです
運動会はお子さんの成長した姿を目にすることができる、年に一度のビックイベント。ですが、多くの場合、保護者席やカメラ・ビデオ席は割ときっちりと決められていますよね。お子さんがいる場所は、はるかかなた。保護者席からお子さんのいる方に向かって、スマホカメラをかざしてみても、我が子は点のようなサイズでしか写らない。スマホカメラのズーム機能を使ってみるものの、ズームすればするほど画像がモザイクのように荒くなってしまう。「やっぱり我が家も、一眼レフ買おうかな、来年は」。そんな呟きを、私自身、運動会中に何度も耳にしたことがあります。
スマホのカメラのレンズは、「広角レンズ」といって、見た目より少し広めに写るレンズが搭載されていて、テーブル上の料理のような接近したものから、近距離での人物撮影、そして風景撮影まであらゆるシーンで使い勝手がいいのですが、運動会のように遠くにいる人物にズームアップして撮ると、一眼レフカメラとの画質の違いが明確に出てしまいます。
理由は、ズームの仕組みの違いにあります。 スマホカメラは、レンズで映る画像の一部を拡大していくので(つまりはレンズは動かない)、寄れば寄るほど画像は荒れていくのです。 一方、一眼レフのズームレンズは、レンズ自体を動かすことによって撮りたいものを拡大していくので画質が劣化することがないのです。
でも、少し工夫すればスマホのカメラでも、画質の劣化を抑えて競技中のお子さんを綺麗に残すことができますよ。
スマホで撮るなら、撮影場所とタイミングを選んで
まずはスマホのズームに極力頼らなくていいように、 パパやママ自身の足でお子さんとの距離を縮めます。 会場内、撮影できる場所は限られていると思いますが、 お遊戯やかけっこなどであらかじめお子さんがどこを通るのかを予測しながら、 もっとも接近できそうなポイントでカメラを構えてください。その上で、 もう少し寄りたいなという分だけ、ズームしてくださいね。 それだけでも、劣化はずいぶん抑えられるはずです。
このときに「シャッターを押すエリア」を厳選するのも大切。例えば徒競走の場合、走っているお子さんをスタートからゴールまで撮ろうとすると、携帯の画面でお子さんを追いかけるのに必死になってしまい、自分のところに近づいてきた、ここぞというときに、距離感を失ってシャッターを押しそびれてしまったり、体勢を立て直して再びシャッターを押す頃には、お子さんがフレームアウトしてしまっていたりすることがあります。ですので、狙うシーンはコーナーなのか、ゴールなのかを絞ったうえで構える場所を考えるのがいいと思います。
撮影は、今いる場所の近くにお子さんがやって来る何秒かに的を絞ると、撮れる枚数は減りますが、集中している分、アタリな写真が増えると思います。カメラを構えるときは、獲物を狙うハンターの気持ちのイメージです。カメラは大きく動かさず、お子さんがフレームインしてくるのをじっと待ってください。 パパとママで分担して、それぞれが違う場所で狙うのもいいかもしれませんね。
競技中以外にもシャッターチャンスがいっぱい!
運動会の最中は、徒競走やお遊戯などの競技に興味がいきがちですが、 競技の合間で緊張するお子さんの様子や、はたまた待機場所で飽きてきて お友達とじゃれ合う様子、メダルをもらって嬉しそうな表情など、 親として、キュンとするシャッターチャンスがトラック外にたくさん隠れています。 舞台裏のような場面に注目して撮るのも面白いですよ。
いつも使い慣れているスマホカメラですので、使い方によっては、不慣れな一眼レフよりもいい写真が撮れると、私は思っています。ぜひトライしてみてくださいね。
それではまた。
今週の一枚
長男1年生のときの運動会の一枚です。
この日は、5月とは思えないほどのかんかん照りで、 待機場所に水筒のお茶の補充をしにいったところ、 息子は暑さと疲労で浮かない表情。 不機嫌な表情がなんだか可笑しくて、すかさず小型カメラを取り出したものの、 カメラの設定が動いてしまっていて、トビトビの写真に。
本来ならボツ写真なのですが、暑ーいあの日が思い出せてそれはそれで面白いのかなと思い、捨てずに保存してあります。 画角や明るさ、ピント、被写体を画面にどう収めるか……、など、 写真を撮るときにはたくさんのことに気を配らなければいけませんが、 「わぁ!撮りたい!」と心が動いたら、 ひとまず何も考えず、その瞬間にシャッターを押してください。 それが思いがけずとっておきの写真になることもありますよ。
なりたゆかり/カメラマン。1980年生まれ。秋田県出身。大学在学中に写真にめざめ、夜間の写真学校に通い学ぶ。その後六本木スタジオ勤務を経て、回里純子氏に師事、2008年に独立。小学3年と1年の息子二人の母。主に雑誌の撮影で幅広く活動中。
Instagram @naritayukari_p