健やかな目を育てるために大切なこと【子どもの目を守る!・1】
目が悪くならないようにしてあげたい、と思っているママも多いことでしょう。目の発達にとって重要な幼児期、毎日の生活の中で心がけたいことを、眼科専門医の荒井宏幸先生に教えてもらいました。
6歳までに視力は完成する!
幼児期の生活習慣が重要です
私たちが受け取る情報の8~9割は視覚からの情報と言われます。生活をしていく上で、目はそれほど重要な役割を果たしているのです。
「赤ちゃんのうちは視力が未完成で、3歳前後でおおかたのものが見えるようになり、およそ6歳で基本的な視力が完成し、6〜8歳で大人と同じレベルになります。幼児期の視力の発達は著しく、きちんと見える目を育てるための非常に大切な時期なのです。近年、問題になっているのは子どもの近視の急増。これは日本だけでなく世界的な問題です。先天的なものや病気は別として、健やかな目のためには日ごろの生活習慣と親の気付きが肝心。目がきちんと見えないと、集中力も低下しがち。宝物である目を大事に育てるのは、親の役割でもあります。
視力や見る機能の異常は2~3歳で出てくることが多いのですが、 早い時期に対処しないと、成長してから矯正が難しい場合も。3歳児検診で目の発達をきちんと確認することも大切です」(荒井宏幸先生)
kodomoeママの
「子どもの目、心配です」
「タブレットで遊んでいるとき、まばたきの回数が明らかに少ないよう。絶対目によくない!と思いながらも『まばたきして』と言っても難しいようです」(ayanaさん/4歳女の子ママ)
「私も夫もメガネで、夫の実家も全員メガネ。いずれは子どもも目が悪くなってしまうのでしょうか?」(こうたママさん/5歳男の子ママ)
「放っておくと、どんどんテレビに近づいていってしまう娘。何度注意してもダメで、目が悪くならないか不安」(yu-hiさん/3歳女の子ママ)
「横を向いたときなど、ふとした瞬間に黒目が内側に入りすぎているように見えます。成長とともに自然に治るのでしょうか?」(さやえんどうさん/5歳女の子、2歳男の子ママ)
まずはcheck!
子どもの目、ちゃんと見えているかな?
※見た目の異常(目や黒目の大きさ、色、まぶたの状態など)は除外しています。
□ 話しかけてもちゃんと目が合わない。
□ まぶしそうに目を閉じたり、パチパチさせたりする。
□ よく目をこする。
□ 明るい戸外に出たときに、片目をつぶる。
□ 首をかしげたり、体を傾けて見る。
□ 目を細める、上目づかいや横目、あごを上げて見るなど、不自然な見かたをする。
□ テレビに極端に近づいて観る。
□ フラッシュをたいて撮影した写真で、片方の目だけ違う色に光って写っている。
□ 写真に写ったとき、黒目が内側もしくは外側に寄っている。
□ ぼんやり気を抜いているとき、左右の黒目がそれぞれ別の方向を向いている 。
→ 1つでも当てはまっていたら、眼科を受診してみよう
子どもの目の発達を知ろう
生後すぐは明るさが分かる程度。
成長するにつれて視力が発達
生まれてから3か月くらいまでは、視力は未完成でぼんやりとしている状態。そこから徐々に視力が発達していき、6〜8歳くらいで大人と同じ見え方に。目がモノを見るときは、角膜から入った光が網膜で焦点を結び、それが視神経を通して信号として脳に送られます。視神経が発達する幼児期に近視や遠視、斜視などがあると、悪いほうの目を使わなくなり、脳で像を結ぶ力=モノを見る力が育ちません。
赤ちゃん
赤ちゃんのときはぼんやり
赤ちゃんはものの輪郭がぼんやり見えている状態。3か月くらいから少しずつ見え始め、1歳くらいで0.1程度と言われています。
3歳
だいたいのものがハッキリ見える
この時期で視力はおよそ1.0程度に。動くものを追いかけたりすることで視力が育っていく、目にとって大切な時期です。
6歳
視力がほぼ完成!
大人と同じ見え方に
大人と変わらないくらいにピント調節機能が発達。6〜8歳頃に大人並みの視力が完成します。ここまでに視力をきちんと育てたい。
教えてくれたのは
荒井宏幸先生
あらいひろゆき/眼科専門医。クイーンズ・アイ・クリニック院長。近視、老眼、白内障の治療に詳しい。著書に『よく見える目をあきらめない』(講談社)ほか。
次回は、近視などの異常は、早い対応がカギ【子どもの目を守る!・2】です。
イラスト/ホリナルミ (kodomoe2018年6月号掲載)